セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

121 膵扁平上皮癌の臨床病理学的検討

演者 種国靖久(東海大学消化器外科)
共同演者 今泉俊秀(東海大学消化器外科), 岡田健一(東海大学消化器外科), 松山正浩(東海大学消化器外科), 矢澤直樹(東海大学消化器外科), 石井正紀(東海大学消化器外科), 堂脇昌一(東海大学消化器外科), 杉尾芳紀(東海大学消化器外科), 飛田浩輔(東海大学消化器外科), 大谷泰雄(東海大学消化器外科), 平林健一(東海大学病理診断科), 幕内博康(東海大学消化器外科)
抄録 【目的】膵腺扁平上皮癌は膵癌取り扱い規約では浸潤性膵管癌の一型に分類されている比較的まれな腫瘍である.通常の腺癌よりもさらにmalignant pten・tia1が高く予後不良とされ術後の補助再発治療に関しても一定の見解はない.今回当院で経験した膵扁平上皮癌の臨床病理学像について検:引した。【対象と方法】1998年1月から2007年9月までに当院で切除された原発性膵癌例204例中病理組織学的に腺扁平上皮癌と診断された切除8例と非切除1例を対象とし臨床症状画像所見病理組織学的所見治療成績について乳頭管状腺管癌と比較し検討した.【結果】発生部位は頭部8例頭体部1例で年齢は55~76歳(平均66.9 k)男性6例女性3例であった.初発症状は黄疸7例(78%)食欲不振2例腹痛1例全身倦怠感1例糖尿病は5例にみられた.腫瘍マーカーの陽性率はCEA SO.O%CA19-9 83.3%CT上5例で腫瘍内部の造影効果がみられ浸潤性よりむしろ膨張性の発育傾向を認めた.手術は切除例8例に対しては全例にPpPDを施行しそのうち3例に門脈合併切除4例に10Rを付加した.腫瘍最大径は3cm~12.5cm(平均48cm)局所進展度はT3 HI 6例T42例で腺癌に比べて脈管浸潤の少ない傾向を認めた病期はstageHI 5例IVa 2例IVb1例リンパ節転移は5例でいずれも腺癌成分の転移であった.手術根治度はRO 4例Rl 2例R22例で5例では補助再発にgemcitabineを投与した.1年生存率は179%と腺癌の57.1%と比べても極端に不良であった.非切除であった1例はTS-1+gemcitabineによる化学療法を施行したがPRで原発巣の急速な増大と腹膜播種により術後48日目で死亡した.【結語】膵扁平上皮癌は通常の腺癌とは臨床的にも異なる特徴を有し極めて予後不良であった.gemcitabineを主とした化学療法の有効性は低く今後治療内容をさらに検討していく必要があると思われる.
索引用語