セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

124 ラットにおけるNSAID誘起小腸障害の発生と胃粘膜保護剤によるその予防効果について

演者 加藤菜穂(京都府立医科大学・消化器内科)
共同演者 若林直樹(京都府立医科大学・消化器内科), 井上健(京都府立医科大学・消化器内科), 柏敦文(京都府立医科大学・消化器内科), 小西英幸(京都府立医科大学・消化器内科), 光藤章二(京都府立医科大学・消化器内科), 片岡慶正(京都府立医科大学・消化器内科), 天ヶ瀬紀久子(京都薬科大学・薬物治療学教室), 竹内孝治(京都薬科大学・薬物治療学教室)
抄録 【背景と目的】当院で原因不明消化管出血(以下OGIB)の精査目的に施行したCE25例DBE50例においてびらんや潰瘍性病変を認めた症例はCE6例DBE18例である.そのうちDBE症例の3例では基礎疾患は無く非ステロイド性解熱鎮痛薬(以下NSAIDs)の内服歴を認めるのみであった.このようにOGBの原因としてしばしば経験する小腸びらんや潰瘍性病変であるがその治療法に関しては未だ確立されたものがない.今回これらの現状を踏まえ特にNSAIDs誘起小腸障害に関し主に薬物予防投与の観点から基礎的検討を行ったので報告する.【方法】NSAIDs誘起性小腸障害及びその治療について非絶食ラットを用いた.インドメタシン(10mg/kg)を皮下投与した後24時間後に小腸粘膜を剖検し損傷面積を顕微鏡下にて測定した.薬物投与に関してはマレイン酸イルソグラジン(1~10mg/kg)テプレノン(100300mg/kg)レバミピド(100300mg/kg)およびdmPGE2(0.03mg/kg)をそれぞれインドメタシン投与30分前および6時間後に経口投与した.アンピシリン(800mg/kg)をインドメタシン投与18時間前および30分前に経口投与した【結果】インドメタシンの投与により24時間後には重篤な出血性損傷を確認した.dmPGE2アンピシリンの前処置はインドメタシン誘起小腸障害の発生を有意に抑制した.またイルソグラジンは用量依存的に小腸障害の発生を抑制し同様にテプレノンおよびレバミピドの前処置によっても有意に抑制された.【結論】ラットへのNSAID投与により生じる小腸粘膜障害を確認した.マレイン酸イルソグラジンテプレノンレバミピドd皿PGE2及びアンピシリンの予防投与によっていずれも小腸障害の発生を有意に抑制した.臨床においても小腸びらんや潰瘍性病変に対しこれらの薬物投与が有効な治療法となる可能性が示唆された.
索引用語