セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

130 腹痛と小腸疾患:ダブルバルーン小腸内視鏡を用いた臨床的アプローチ

演者 島谷昌明(関西医大内科学第三講座)
共同演者 松下光伸(関西医大内科学第三講座), 鈴木亮(関西医大内科学第三講座), 住本貴美(関西医大内科学第三講座), 塩見佳祐(関西医大内科学第三講座), 福井寿朗(関西医大内科学第三講座), 田橋賢也(関西医大内科学第三講座), 内田一茂(関西医大内科学第三講座), 高岡亮(関西医大内科学第三講座), 岡崎和一(関西医大内科学第三講座)
抄録 【目的】腹痛は日常診療において頻度の窩い症状の1つである.腹痛を来す疾患は消化器疾患をはじめとして循環器疾患・代謝性疾患など多岐にわたるため適切な検査を行い診断を下す必要がある.特に小腸疾患に関してはこれまでX線二重造影法や腹部CTなどの放射線診断が主であったがダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)の登場により全小腸の詳細な内視鏡観察生検採取による確定診断および内視鏡治療も可能となり過小評価されてきた小腸病変の実態が明らかになってきている.今回診断に苦渋した幾つかの症例を供覧し腹痛症例に対するDBEの有用性と問題点について報告する【対象と方法】2005年4月~2007年9月目でに小腸DBEを施行した75例138件のうち腹痛症例に対して小腸精査目的にDBEを施行した18例36件を対象とした【成績】DBEの検査契機は原因不明の消化管出血(OGIB)が53.3%(40/75)で最も多く続いて腹痛が24%(18/75)であった.OGIBの有所見率は62.5%(25/40)であったのに対し腹痛の有所見率は55.6%(10/18)であった.腹痛精査のDBE検査にて有所見であった疾患の内訳は小腸クローン病:2例小腸輪状狭窄:2例小腸粘液癌:1例小腸カルチノイド:1例悪性リンパ腫:1例腸管ベーLチェット:1例GIST:1例NSAIDs潰瘍:1例であった.【まとめ】腹痛症例に対して適切な検査を行い診断を進め原因疾患に対する治療をできるだけ早期から開始することが重要である.特に小腸疾患に対するDBEによる観察は機能的疾患と器質的疾患の鑑別に有用であった.また器質的疾患に対する生検採取は確定診断および治療方針決定に有用であり消化管癌の中でも数%と言われている小腸粘液癌も経験した.しかしながらDBEは苦痛を伴う検査であり有所見事が約半数であったことより今後はスクリーニングとしてカプセル内視鏡などの役割が期待される.
索引用語