セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

142 活動期潰瘍性大腸炎の高内皮細静脈様血管におけるperipheral lymph node addressinの選択的誘導

演者 須澤兼一(信州大学消化器内科)
共同演者
抄録 【目的】血球細胞が血行性に末梢組織へ移入するときセレクチンと呼ばれる細胞表面分子とそのリガンド凹凹の分子相互作用が重要である.リンパ球のりンパ節へのホーミングと同様に潰瘍性大腸炎(UC)の腸粘膜においてはL一セレクチンと末梢リンパ節アドレッシン(PNAd)との分子相互作用がリンパ球の動員を担っておりこれには高内皮細静脈(HEV)に類似した血管上のPNAdの誘導が必要であることが示唆されている.本研究はこれらHEV様血管がどの様にUCの病因に関与しているのか臨床病期と相互関係があるかどうかを明らかにすることを目的とした.【方法】潰瘍性大腸炎の活動期32例と緩解期12例の生検標本を用いてCD34MECA-79HECA-452の免疫染色を行いMECA-79、 HECA-452陽性血管およびCD34陽性血管をカウントし定量的解析を行った、ビトロでL一セレクチン・IgMキメラ蛋白を用いたバインデイングアッセイを行い. HEV様血管上のPNAdがL一口レクチンリガンドであるかどうか調べた.RT-PCRを行いUCの活動期においてHEV様血管上に誘発されるPNAdの生合成のためにどの様な酵素が規定されているかを調べたMECA-79とCD3及びCD20+CD790cCD4及びCD8CXCR3及びST2しの三重免疫染色を行いHEV様血管にどのような種類のリンパ球が密接に関係しているかを調べた.【結果】活動期UCにおいてPNAdを発現している1{EV様血管は緩解期UCより有意に増加していた.また選択的にMECA-79エピトープの発現を導く硫酸転移酵素(N一アセチルグルコサミンー6-0一硫酸転移酵素一1)(GlcNAc6ST-1)が活動期UCにおいて緩解期に比べて増加していたさらにT細胞特にCD4+T細胞がB細胞よりHEV様血管と密接に関係していた.【結論】GlcNAc6ST 一 1の発現によって誘導されるPNAdを発現しているHEV様血管を通して行われるT細胞の組織への動員はUCの病因において密接な関りが示唆された.(本研究は信州大学組織病理学講座との共同研究で行われた)
索引用語