抄録 |
【目的】高齢者大腸癌外科治療成績の実態から今後の成績向上の要点を総括する.【方法】1985~2004年の初回手術1890回目80歳一/超高齢群(175例)70-79歳/高齢群(559例)一69歳/対照群(1156例)に分け前半10年(前期)と後半10年(後期)で比較検討した.【結果】前期に比べて後期手術数は増加し(L8倍)年齢構成は超高齢群の増加率が顕著(2.8倍)である.近年無症状発見例が増加した(前期14%vs後期27%)が超高齢群は有症状率が高く腸閉塞などで緊急手術となる率は依然として高い.20年間の年齢層別の癌進行度比率は不変である.可及的手術を待機化した1990年後半から在院死率は低下し(超)高齢群腸閉塞手術の短期成績は向上した.超高齢群は併存疾患が対照群に比べて多く特に一過性精神障害発生率は高いが待機例の術後合併症発生率は他群と変わりなかった1990年以降(超)高齢群に積極的にD3郭清を施行するようになった.他病死を除く治癒切除の対照群高齢群超高齢群の累積5年生存率は前期82%74%54%後期89%89%88%であり(超)高齢群の後期成績は対照群に比べて遜色ない成績であった.【結語】1)高齢者大腸癌は確実に増加している.進行癌比率が高く対照群に比べて緊急手術率は高い2)高齢者の無症状(検診)発見例も増加しているが20年間stage高頻度に差はない.3)緊急手術はリスクが高いので手術を待機化し治癒切除を目指せば高齢者においても良好な二二性が達成され年齢による治療成績の差は少ない.4)手術に際しては個別性とQOLを重視した可及的低侵襲な術式が選択されるべきである5)早期発見と早期治療患者の全体像を短期聞に把握し癌悪性度を適切に評価することは高齢者大腸癌成績向上の鍵となる. |