セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

157 当科における腸管嚢腫様気腫症(PCI)の臨床的検討

演者 久多良徳彦(岩手医科大学内科学第一講座)
共同演者 千葉俊美(岩手医科大学内科学第一講座), 池田圭政(岩手医科大学内科学第一講座), 齋藤慎二(岩手医科大学内科学第一講座), 小穴修平(岩手医科大学内科学第一講座), 遠藤昌樹(岩手医科大学内科学第一講座), 折居正之(岩手医科大学内科学第一講座), 鈴木一幸(岩手医科大学内科学第一講座)
抄録 【目的】腸管嚢腫様気腫症(以下PCDは粘膜下や漿膜下に多数の含気性嚢胞気腫が出現する疾患である.当科におけるPCI症例の検討を行い臨床像を明らかにする.【対象】2004年から2007年までに当科で経験したPCI6例(男性3例女性3例平均年齢35.5歳)を対象とした.【結果】発見の契機としては腹痛を呈するものが4例認められ無症状は2例でそのうち1例は便潜血陽性の精査もう1例は大腸ポリープの経過観察の下部消化管内視鏡検査で発見された.基礎疾患としては血液疾患3例膠原病1例自己免疫疾患1例基礎疾患なしが1例であったPCIの原因としてはステロイド内服によるものが5例で1例は感染性腸炎が原因と考えられた。気腫の局在は全例が右側結腸であり腹腔内遊離ガス像は漿膜下に気腫のある2例で認められた.治療法としてはステロイド内服の中止にて経過観察を行った3例で気腫は消失しステロイドの内服継続が必要な2例にて気腫は不変で経過観察となっている.もう1例は高圧酸素療法を行い気腫の消失が認められた.【考察】PCIの発生機序はいまだ不明であるが腸管内圧が充進した機械説やガス産生菌の関与が考えられる細菌説慢性肺疾患に伴う肺原説やトリクロロエチレンの曝露による化学説などが提唱されている.他にステロイドホルモンや経口血糖降下薬のαグルコシダーゼ阻害剤が発症の危険因子と考えられる症例も報告されている.当科の症例では6例中5例でステロイド使用歴を認めステロイドによる腸管粘膜下リンパ組織の減少による粘膜組織の損傷やステロイドの直接作用によって粘膜組織の脆弱が腸管壁内気腫形成に関与した可能性が考えられた治療としてはステロイドの漸減中止を行った3例で気腫の消失を認めておりステロイドの中止による保存的な経過観察にて治療可能と考えられた.またステロイドの関与していない1例にて高圧酸素療法が有効でありPCI治療の選択肢の1つと考えられた.
索引用語