抄録 |
【目的1アメーバ性大腸炎は従来海外渡航者に多い疾患とされていたが近年性感染症として国内感染が増加している.今回当院においてアメーバ性大腸炎と診断し得た23例に対し臨床的検討を行った.【方法】2002年10月~2007年9月の5年間に当院で下部内視鏡検査を施行し内視鏡的にアメーバ性大腸炎が疑われかつ便中虫体検査・血清アメーバ抗体価・生検のいずれかにてアメーバ性大腸炎と確醒し得た23例を対象に患者背景感染経路症状診断方法内視鏡所見T治療の検討を行った【結果】平均年齢42.3歳(19~77)男性21例女性2例であった.感染経路は性的接触(homosexual 10例bisexual 2例heterosexual 2例不明2例)が16例海外渡航歴を有するものが1例不明が6例であった.HIV感染者は13例(CD4数≧200が7例<200が6例)でありAIDS期の者は7例であった.有症状は15例(血便10例下痢4例残巨樹1例)であり無症状は8例(便潜血陽性3例スクリーニング5例)であった生検で組員を確認できたのは22例中18例(81.8%)糞便から団体を確認できたのは8例中1例(12.5%)血清アメーバ抗体価は21例中17例(80.9%)で陽性であった.内視鏡像はほぼ全例で汚い白苔を有する地図状・類円形の潰瘍やたこいぼびらんを呈しており罹患部位は盲腸(13例)が最多で次いで直腸・S状結腸の順であった.有症状例と無症状例を比較すると有症状例では肛門側に近いS状結腸もしくは直腸に病変を認める例が有意に多かった(有症状例80%vs無症状例12.5%p=O.0059)。また腸管外病変としてCTを施行した7例中1例に肝膿瘍を認めた.全例メト器財ダゾール内服で治療開始し再燃を繰り返した1例を除き22例で改善を認めた.【結論】当院におけるアメーバの感染経路は性的接触が多く病期に関わらずHIV感染者に多かった.直腸・S状結腸に病変を有する場合には有症状者が多いが無症状で発見される症例も散見された.内視鏡で特徴的な像を認めた場合にはリスクの有無に関わらず積極的に本症を念頭に診療を行う必要がある. |