セッション情報 | 一般演題(口演) |
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タイトル | 163 S状結腸を中心に著明な腸管浮腫を呈して発症し虚血性大腸炎へと進展した古典的結節性多発動脈炎の1例 |
演者 | 湯本英一朗(住友別子病院消化器内科) |
共同演者 | 鈴木誠祐(住友別子病院消化器内科), 神崎洋光(住友別子病院消化器内科), 平崎照士(住友別子病院消化器内科), 松本栄二(住友別子病院消化器内科), 松村周治(住友別子病院消化器内科), 藤田浩平(住友別子病院消化器内科), 山根弘路(住友別子病院消化器内科) |
抄録 | 【症例169歳男性.既往歴:痛風高血圧高脂血症.主訴は下痢発熱下腹部痛.H19年6月中旬より下痢左足関節痛38℃の発熱を認めその後左下腹部痛粘液便も出現し近医より当院紹介受診され入院した、入院時のCTでは直腸から下行結腸に連続性に腸管の全周性の壁肥厚を認め周囲結合織および腸間膜の軽度濃度:上昇および軽度腹水を認めた.血液検査ではWBC10420/μ1CRP12.2mg/dlPlt 42.1万/plANA 80倍陽性(HO+SP)RF陽性RA因子42.OIU/ml(<15)であったが他の自己抗体は陰性であった.大腸内視鏡検査では直腸上部より下行結腸まで著明な腸管の浮腫を認めたが粘膜面は軽度の発赤のみで潰瘍や出血は認めなかった.上部消化管内視鏡検査および小腸透視では著変を認めなかった腹部血管造影にて下腸間膜動脈の分枝において連珠状の口径不同を認めS状結腸を中心とした腸管の血流低下、そして下腸間膜静脈の還流低下を認めた.入院約4週後の大腸内視鏡検査ではS状結腸には狭窄・粘膜の広範囲の脱落・潰癌性変化を認めた.脱落した部の生検組織では表層に再生上皮を認めたが粘膜内の細動脈には全周性にフィブリイド壊死を認めた病理組織血管造影所見等より古典的結節性多発動脈炎と診断した.治療としてはステロイド投与(PLN静注)施行し腹痛・発熱は消失したが炎症は完全には治まらずステロイパルスおよび免疫抑制剤を併用して治まった.しかしS状結腸の搬痕・狭窄が認められ抗凝固剤抗血小板剤血管拡張剤等の慢性期の治療を行い改善中である.なお皮膚・腎・肺・中枢神経などの他臓器症状は現在のところ認めていない.【考察1急性腹症を呈して腸管病変のみを認めた古典的結節性多発動脈炎1例を経験した.典型的消化管症状である出血・穿孔も認めずさらに著明な腸管浮腫を認めて発症し診断にも苦慮した貴重な症例と考え文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 |