セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

165 直腸に毛髪を伴う隆起性病変として発見された直腸原発cystic teratomaの1例

演者 宮田義史(虎の門病院消化器科)
共同演者 飯塚敏郎(虎の門病院消化器科), 布袋屋修(虎の門病院消化器科), 橋本光代(虎の門病院消化器科), 矢作直久(虎の門病院消化器科), 横山剛(虎の門病院消化器外科), 的場周一郎(虎の門病院消化器外科), 澤田壽仁(虎の門病院消化器外科), 大橋健一(虎の門病院病理部)
抄録 【症例IM歳女性【主訴1血便【既往歴1 2005年2月急性骨髄性白血病を発症2006年4月と5月騰帯血移植を受けた【家族歴】特記事項なし【現病歴12007年3月22日より低血糖発作急性膵炎の精査加療のため当院血液内科入院中であった.3月30日夜間急に冷汗血圧低下が出現血便を認め輸血等施行された.以後血便は認められず原因検索のため4月10日大腸内視鏡を施行した.肛門より約8cmの直腸前壁に粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め表面に毛髪と思われる黒色の細い線維が多:量に付着していた.黒色線維付着部の直腸粘膜は易出血性の潰瘍を形成しており膿汁様の白濁した粘液が付着していたことから直腸粘膜下あるいは慮外性の腫瘍が直腸内腔へ穿幽し腫瘍内容物が露出したと考えられた.潰瘍辺縁部より生検施行したが病理組織学的に腫瘍性組織は認めなかった.4月11日骨盤部MRI施行し直腸前壁から腹側に突出する径約3cmの腫瘤性病変を認めT1強調画像にて内部は高信号を呈した脂肪抑制画像で信号は低下し脂肪成分を含んでいると思われることから奇形腫が疑われた経膣超音波検査では左卵巣奇形腫の直腸壁浸潤または直腸原発奇形腫が疑われ両者の画像上鑑別が困難なことから4月25日低位前方切除および子宮全摘左付属器切除を施行した.マクロ標本上は直腸Rbにhair bal様の毛髪集塊が粘膜面に露出した形でみられた.病理組織学的には直腸壁漿膜下層を主座とした毛髪を伴う嚢胞性病変で周囲に直腸壁全層に及ぶ膿瘍形成を認めた.悪性所見は認めず嚢胞内に上皮成分は明らかでなく毛髪以外に奇形腫成分は認められなかったが直腸壁に発生したcystic teratomaが膿瘍形成に伴い直腸内心に穿破したものと思われた、直腸に原発した奇形腫に関する報告は少なく直腸内腔へ毛髪の露出を呈した例は非常に稀と思われ文献的考察を加え報告する.
索引用語