セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

169 胃粘膜上皮幹細胞の電顕的同定

演者 足立美穂(慶應義塾大学消化器内科)
共同演者 永田博司(けいゆう病院消化器科), 渡辺勲史(東海大学消化器内科), 長谷川英章(東海大学教育支援センター), 伊東良子(東海大学教育支援センター), 日比紀文(慶應義塾大学消化器内科)
抄録 【目的】胎生期における哺乳類の中枢神経系に発現しニューロンの新生遊走に関与するdoublecortin CAMK-like protein 1(DCAMKL1)はser-ine/threonine kinaseの一種でN-terminalはrnicrotubUle-associate pr(Fteinであるdoublecortint C-terminalはcalcium/calmodulin-dependentprotein kinaseに相同性を示す.我々はDCAMK:L1がラット胃粘膜上皮幹細胞のマーカーとなりうることを報告してきたが今回DCAMK:L1の細胞局在を光顕ならびに免疫電顕により検討した.【方法】ラット胃体部組織を細切後4%パラホルムアルデヒドとO1%グルタールアルデヒドで固定し凍結切片を作成した.切片を抗DCAMKL1抗体と反応させ酵素抗体間接法により光顕で観察した.2%オスミウム酸で後固定し樹脂包埋後超薄切片を作成し陽性細胞を透過型電顕で観察した.【成績】光顕では胃腺峡部の上皮細胞間にDCAMKL1陽性細胞が分布していた.電顕で観察するとDCAMKLI陽性細胞は壁細胞や主細胞より小型で上皮細胞との間に存在する比較的扁平な細胞であり細胞質全体にびまん性の反応産物を認めた.上皮細胞間接合部においてデスモゾームが存在することからDCAMKL1陽性細胞が上皮細胞であることが確かめられた.DCAMKLI陽性細胞はN/C比が高くミトコンドリアや小胞体などの細胞内小器官に乏しい細胞であった.またDCAMKL1陽性細胞には分泌穎粒もみられず内分泌細胞とは異なる構造を示した.【結論1DCAMKL1は細胞内小器官の乏しい小型で未熟な細胞に発現していたDCAMKL1陽性細胞はKaramらが電顕オートラジオグラフィーの手法を用いて幹細胞であると提唱したgranule free ce11と極めて類似した超微形態を有していたことより胃粘膜上皮幹細胞に相当すると考えられた.
索引用語