セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

170 スルフォラファンの胃酸分泌及び胃粘膜酸化ストレス応答能に及ぼす影響

演者 赤荻立昇(東京理科大学・薬学部・臨床薬理学(谷中研))
共同演者 佐藤大介(筑波大学大学院・人間総合科学研究科・消化器内科), 谷中昭典(東京理科大学・薬学部・臨床薬理学(谷中研))
抄録 【背景・目的】ブロッコリーの新芽(BS:Broccoli Sprout)に豊富に含まれるSul-foraphane(SFN>は転写因子nrf2を介して抗酸化酵素を誘導し生体の酸化ストレス応答能を強化することからがん化学予防に寄与する可能性が期待されているこれまでに我々はSFNあるいはBSの投与がH.pylori(Hp)感染マウス及びHp感染者における胃炎を軽快させ胃粘膜Hp菌量を減少させることを報告した.今回はその機序を解明するためにin vitro胃粘膜を用いてSFNの胃酸分泌及び胃粘膜酸化ストレス応答能に及ぼす影響について検討した.【方法】ウシガエルから胃を摘出し固有筋層から剥離したシート状胃粘膜をUssing chamberに設置して電気生理学的指標である粘膜間の電位差(PD)及び電気学的抵抗(R)酸分泌量を測定した.L胃酸分泌に及ぼす影響:漿膜側に各種濃度のSFNを投与しSFNの胃酸分泌及び胃粘膜ヒスタミン遊離に及ぼす影響について検討した.2胃粘膜酸化ストレス旛答能に及ぼす検討:酸化ストレスとしてHp感染胃粘膜で産生されるperoxynitriteを遊離するSIN-1を投与しPDRに及ぼす影響をSFNの存在下及び非存在下で検討した.【成績】1.SFN(100 uM-1mM)は用量依存性に胃酸分泌とヒスタミン遊離を促進した.またSFNによる胃酸分泌の増大作用は1 mM cimetidineにより完全に抑制された2. SIN-1は用量依存性にPDRを低下させたがSIN-1投与によるPDRの低下はSFN 100 uM存在下では有意に抑制されたまたSFNは胃粘膜にnrf2及び抗酸化酵素Prx-1を強力に誘導した.【結論】SFNは胃粘eC histamineの遊離を促進することにより胃酸分泌を促進する.またSFNはnrf2を介する抗酸化酵素の誘導作用により胃粘膜酸化ストレス応答能を高める.以上の2つの機序によりSFNはHp感染による胃体部胃炎を軽快させ胃がんの化学予防に寄与する可能性が示唆された
索引用語