セッション情報 一般演題(口演)

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176 慢性型特発性血小板減少性紫斑病に対するH.pylori除菌治療の長期的効果と除菌効果予測因子の検討

演者 沖本忠義(大分大学消化器内科)
共同演者 佐藤竜吾(大分大学消化器内科), 村上和成(大分大学消化器内科)
抄録 【目的】近年の臨床的研究結果からH. pyloriは慢性型特発性血小板減少性紫斑病(cITP)の重要な発症要因として既に認知されており臨床の現場では除菌療法がH. pylori wa性cITPに対する治療の第一選択となりつつある今回我々はHrylori除菌治療のclTPへの適応拡大に向けての証左となる有効率と長期的効果を示すとともに除菌効果予測因子に関する検討を行った.【方法】対象はclTP患者66名(男性21名女性45名平均年齢59歳).尿素呼気テストを含む方法でH. pylori感染のスクリーニングを行い陽性者のうち同意が得られた症例に対しては除菌治療を行った.除菌治療の効果判定は除菌後6ヶ月の時点で行い血小板数が5万/pl以上増加した症例を除菌有効群とした.エントリー症例に対しては血小板数測定およびH. pylori感染検査を定期的に行ってfoUOW-upした.また除菌成功例のうち内視鏡検査および胃生検を施行し得た34コ口を対象に除菌有効群と無効群間で臨床的および病理組織学的な因子の比較検討を行6た.【成績】clTP患者のH四loアf感染率は71%(47/66)H. pylori除菌成功患者の除薗有効率は54%(21/39)であった.なお、除菌有効群を平均約5年間経過観察中であるが再感染例1例を除いた全例で除菌効果は持続していた.また除菌成功患者のうち除菌有効例19例と無効例15例の背景因子を比較したところ内視鏡的萎縮度と胃体部の組織学的炎症の程度が除菌有効群において有意に高度で内視鏡的萎縮度がC-2以下および胃体部の組織学的炎症が軽度の症例では全例除菌治療に反応しなかった.【結論]clTPに対するH. pylori除菌治療は安全で再感染しない限りは根治的治療に成り得ると考えられた。また内視鏡的萎縮度あるいは体部の組織学的所見から除菌効果の予測が可能であることが示唆され体部萎縮性胃炎の進展がH. pylori関連cITPの発症に関与していることが推測された.
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