セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

188 低用量アスピリン投与による胃十二指腸潰瘍と血清トリグリセリドの関連

演者 藤井孝明(群馬県立心臓血管センター外科)
共同演者 中林利博(群馬県立心臓血管センター外科), 橋本信次(群馬県立心臓血管センター外科), 桑野博行(群馬大学大学院病態総合外科学)
抄録 【目的】低容量アスピリン投与と上部消化管出血潰瘍リスクの増加は関連しておりプロトンポンプインヒビター(PPIs)等の胃保護薬がリスク低下に有用であると報告されてきている.しかし現状では潰瘍の既往などの危険因子を有する患者以外への胃保護薬のルーチン投与はまだ推奨されてなく潰瘍を予測する危険因子臨床的指標をより多く特定する必要がある.今回我々は抗血小板薬の投与率が高い当院における胃十二指腸潰瘍の症例に対し低用量アスピリン投与の関連と胃保護薬の効果また心疾患の危険因子でもある血清脂質との関連性を検討した.【方法】群馬県立心臓血管センターにて施行した上部消化管内視鏡2821例のうち胃十二指腸潰瘍症例で除外規定に当てはまらない118例と性別年齢でマッチングした対照236例を本研究の対象とした.【結果】低用量アスピリン投与による上部消化管潰瘍のオッズ比(OR)は2.6(95%信頼区間(CI)1.5-4.5)であった.血清トリグリセリド高値群では低用量アスピリン投与群でのみリスク増加が認められ(OR 3.1 for the highest versus the lowest quartile;95%CI 1.1-8.2)アスピリン非投与群では関連性は認められなかった(OR O.8 for the highest versus the lowest quartile i 950/o CI O.4-1.8).またすべての群においてPPIsH2-blocker投与で潰瘍のリスクは低下した.【結論】以上よりt血清高トリグリセリドは低用量アスピリン投与による胃.十二指腸潰瘍の危険因子のひとつとなり得ることが示唆された.低用量アスピリン内服中の症例で血清トリグリセリド高値群においては胃保護薬の予防的投与が必要である可能性が示唆された。
索引用語