セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

191 高齢者における肝細胞癌の臨床的特徴及び治療選択

演者 三木大樹(広島大学分子病態制御内科学)
共同演者 相方浩(広島大学分子病態制御内科学), 宇賀公宣(広島大学分子病態制御内科学), 河岡友和(広島大学分子病態制御内科学), 實藤宏美(広島大学分子病態制御内科学), 阿座上隆広(広島大学分子病態制御内科学), 高木慎太郎(広島大学分子病態制御内科学), 丁守哲(広島大学分子病態制御内科学), 高橋祥一(広島大学分子病態制御内科学), 茶山一彰(広島大学分子病態制御内科学)
抄録 【目的】現在増加しつつある高齢者の肝細胞癌(HCC)の臨床的特徴を明らかにした上でその治療選択における問題点を検討する.【方法】対象は当科にて初回診断治療を行い治療後1年以上経過観察しえたHCC732例.65歳以上を高齢者と定義し臨床的特徴及び治療成績等について非高齢者と比較検討した.【結果】1)高齢者ではHCV抗体陽性(C群)83%HBs抗原陽性(B群)4%両者陰性(NBNC群)12%両者陽性(B+C群)1%に対し非高齢者ではC群57%B群30%NBNC群9%B+C群4%と高齢者においてHCV陽性率が高かった(p<O.001).特に近年はC群で高齢者の占める割合が増加していた.2)C群の高齢者では血小板数が非高齢者より高値で(p<α001)切除例の背景肝はF因子が低く(p=0.031)非硬変肝からの発癌例が多かった.NBNC群で飲酒歴を有する高齢男性に他臓器癌の合併例が多かった.3)選択された治療法について比較すると高齢者ではJIS OからJIS 3のいずれでも肝切除選択率が低くその替わりとしてJIS Oでは経皮的局所療法JIS 1では経皮的局所療法とTACEJIS2とJIS3ではTACEを選択した症例が多くなっていた.他病死まで含めた生存率を高齢者/非高齢者で比較するとJIS Oで3年77/87%5年64/69%JIS 1で3年66/74%5年39/57%JIS 2で3年46/61%5年18/47%となっておりJIS Oでは有意差を認めないもののJIS1及びJIS 2では高齢者が有意に不良であった.高齢者の約3割が糖尿病や高血圧心疾患腎障害脳血管障害等の合併症を有していた.【結論】高齢者ではHCV陽性率が高く非高齢者に比較して肝予備能良好な非硬変肝例が多かった.同じJISスコアでも高齢者ではより低侵襲な治療が選択されるケースが多かったが生命予後に関してはやや不良であった高齢者では基礎疾患の合併が多く検査治療を進める上でのlimiting factorになっている可能性がありそれらへの対策が重要と考えられた
索引用語