セッション情報 |
一般演題(口演)
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タイトル |
193 高齢の肝細胞癌肝切除患者の臨床病理学的特徴と術後生存率の解析による手術治療の妥当性の検証
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演者 |
松田政徳(山梨大学第一外科) |
共同演者 |
浅川真巳(山梨大学第一外科), 藤井秀樹(山梨大学第一外科) |
抄録 |
(はじめに)高齢化社会の到来で高齢者の肝細胞癌(肝癌)肝切除も増加している.今回高齢の肝癌患者の臨床病理学的特徴を明らかとし生存率の解析から手術治療の妥当性を検証した.(対象と方法)過去10年間の初回肝切除症例198例を対象とした手術時70歳以上を高齢者とした.全身麻酔に耐えられると判断された患者を手術適応とし肝切除の適応はガイドラインを遵守し肝機能と腫瘍の局在により肝切除:量を決定した.年齢は考慮しなかった.(結果)高齢者は69人(35%平均74歳)であった.臨床的因子の比較では高齢群は非高齢群(129人平均61歳)に比して女性の比率が高く(p<OOl)慢性日本住血吸虫症(日虫症)の合併者が多く(p<0.01)アルコール多飲者の割合が低く(p<0.01)HBsAg陽性率が低く(p<0.05)HCV抗体陽性率が高かった(p<α05).またT-Bil値とAST値は低く(p<0.Ol)DCP値は有意に高かった(p〈005).また重複癌の頻度が有意に高かった(pく0.01)喫煙率糖尿病併存率アルブミン値血小板値PT%ICGI5分値AFP値Child-Pughには差を認めなかった.腫瘍因子病理因子の比較では腫瘍径腫瘍数脈管侵襲肝内転移分化度Stage肝硬変の併存率のいずれも差を認めなかったまた肝切除量治癒切除率にも差を認めなかった.周術期における特徴は肺炎などの呼吸器合併症と術後せん妄がわずかに多い傾向を認めたが有意差を示すものはなかった.観経在院死は高齢者群にはなく非高齢者群に1名(誤嚥性肺炎)存在した.術後の生存率の解析では肝癌死と肝不全死をエンドポイントとすると高齢群と非高齢群に差はなかった(pニ0.90)。またすべての死亡(肝臓死他病死不慮の事故自然死等)をエンドポイントとしても差は認められなかった(p=0.44).(結語)高齢者であっても身体的評価で細紐可能と判断されれば肝癌に対する肝切除術は非高齢者と同様の適応で十分に行いうる妥当な治療と考えられる |
索引用語 |
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