セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

197 当科における肝切除術の周術期管理と医療用クリティカルパスの変遷

演者 市川剛(大阪市立大学大学院肝胆膵外科学)
共同演者 竹村茂一(大阪市立大学大学院肝胆膵外科学), 上西崇弘(大阪市立大学大学院肝胆膵外科学), 大場一輝(大阪市立大学大学院肝胆膵外科学), 小川雅生(大阪市立大学大学院肝胆膵外科学), 高台真太郎(大阪市立大学大学院肝胆膵外科学), 新川寛二(大阪市立大学大学院肝胆膵外科学), 久保正二(大阪市立大学大学院肝胆膵外科学)
抄録 肝切除術はその臓器特異性や背景肝疾患の存在により術後合併症の発生率が高くこれまで定型的な経過をたどる手術ではなかったが手術手技手術機器や周術期管理の向上などで安定した術後経過をとるようになりクリティカルパス(以下パス)が導入され始めた。当科では2003年より肝切除術におけるパスを導入.改良作業を繰り返し現行(第4期)パスに至った.適応基準は肝切除量と肝機能予備力からICGIO%以下かつ葉切除以下ICG20%以下かつ区域切除以下ICG30%以下患者とした.胆道再建症例腎不全重度糖尿病や多臓器合併切除患者は除外した.この適応基準外でも主治医がパス使用可能と判断した場合もパス使用の対象とした.パス導入以前は中心静脈カテーテル留置術前後高カロリー輸液術後ドパミン持続投与分枝鎖アミノ酸製剤新鮮凍結血漿タンパク製剤肝庇護剤術後予防抗菌薬の手術当日を含む3日間投与や閉鎖式ドレーンの使用を基本としていた.それに対し第1期パスは術後輸液は3号液を基本とする末梢輸液のみとし第1あるいは第2世代セフェム系抗菌薬の手術当日を含む3日間投与アルブミン製剤の投与は血清アルブミン値が2.5mg/dL以下や難治性(胸)腹水時のみに輸血は血清ヘマトクリット値が25%以下に制限体動制限の解除や経口摂取の開始を早め不必要な血液検査を制限し退院日は術後21日目とした.これをバリアンス集計により問題点を検索し退院日術後処置測定期間の短縮経口摂取開始時期の変更など現在まで3回の改良(第1期71例第2期44例第3期32例の検討)を加え現行パスとした.現行パスは2006年4月~12月の期間に39例に使用され35例(90%)において遂行可能であった.パス導入以前の平均術後在院日数は28日で1入院当たりの費用が220~240万円であったが現行パス使用例では14.3日となり費用も130~160万円へと減少した.
索引用語