セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

233 食道癌術後8年目に発症した脳空気塞栓症の1例

演者 宇佐美彰久(トヨタ記念病院消化器科)
共同演者 篠田昌孝(トヨタ記念病院消化器科), 高士ひとみ(トヨタ記念病院消化器科), 鈴木貴久(トヨタ記念病院消化器科), 高橋宏尚(トヨタ記念病院消化器科), 村山睦(トヨタ記念病院消化器科), 森瀬和宏(トヨタ記念病院消化器科), 鈴木孝(トヨタ記念病院消化器科), 西田卓(トヨタ記念病院神経内科), 田代和弘(トヨタ記念病院病理)
抄録 【症例】68歳男性【既往歴】1999年食道癌【現病歴】1999年他院で食道癌にて胸腔内胃管つり上げ術施行.2007年6月14日隔日麻痺出現し当院救急外来受診.来院時は右片麻痺消失していたが悪寒戦標を伴う発熱を認めた.一過性脳虚血発作の可能性あり経過観察入院となった【身体所見】体温40.1℃血圧170/110㎜Hg脈拍126/分瞳孔不同項細心なしその他の神経学的賄所見なし腹部平坦かつ軟圧痛なし【検査所見】WBC4600/μ1且b13.2g/dlPlt397000/μ1AST18U/LALTIOU/LLD239U/LBUN17mg/dlCrOgmg/ltlCRP3.8mg/dl頭部CT:明らかな異常所見なし.胸部単純CT:右脳腔内につり上げ胃管を認め心臓に接している.血液培養:A-streptococcus1+Candida glabrate11+.【入院後経過】6月15日0時40分.飲水直後に意識レベルが急激に低下し昏睡状態となった.血圧:面骨微弱脈拍:50/分呼吸微弱.直ちに気管内挿管昇圧剤投与を行った.再検した頭部単純CTでは右大脳半球を中心に血と思われる多数のLDAを認め空気塞栓が疑われ腹部単純CTでは胃管背側粘膜粘膜下に気腫所見を認めた高圧酸素療法も考慮されたが状態が不安定であっため搬送を断念.胃管チューブ挿入し抗生剤抗潰瘍剤昇圧剤人工呼吸器管理にて保存的治療を行ったが意識レベルは改善せず2007年6月27日死亡.【病理解剖所見】縦隔は食道癌術後の状態であり右目腔内では胃管が心臓に接していた.つり上げ胃管が脈管系と接する部位に直径15mmの潰瘍を認めた.潰瘍病変には悪性所見は認めなかった.潰瘍付近の脈管をCD34染色すると一部内皮細胞の構造は破綻しており潰瘍と肺静脈の分枝または気管支静脈との交通が示唆された.【結語】食道癌術後8年の胃管内に発症した消化性潰瘍の脈管への穿通を契機に脳空気塞栓を来したと推測される一症例を経験したので報告する.
索引用語