セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

235 C型慢性肝炎患者由来ミエロイド樹状細胞におけるToll様受容体/RIG-Iの発現と機能制御機構

演者 宮崎昌典(大阪大学消化器内科)
共同演者 考藤達哉(大阪大学消化器内科), 垣田成庸(大阪大学消化器内科), 井上路代(大阪大学消化器内科), 糸瀬一陽(大阪大学消化器内科), 宮竹英希(大阪大学消化器内科), 榊原充(大阪大学消化器内科), 薬師神崇行(大阪大学消化器内科), 平松直樹(大阪大学消化器内科), 竹原徹郎(大阪大学消化器内科), 笠原彰紀(大阪大学消化器内科), 林紀夫(大阪大学消化器内科)
抄録 【目的】樹状細胞(DC)はウイルス構成成分を認識するTo皿様受容体(TLR)RIG-1やMDA5を発現し1型IFNや炎症性サイトカインの産生を介して免疫系を賦活させる.HCV NS3/4A蛋白によるTLR3/RIG-1経路の阻害が報告されHCVによる自然免疫の抑制と持続感染との関連が示唆される.本研究ではC型慢性肝炎患者MDCのTLR/RIG-1シグナル伝達抑制機序を明らかにすることを目的とした.【方法】C型慢性肝炎患者と非感染者よりMDCを分離しTLR2一3一4R工G-L MDA5の発現を検討した.次に各TLR/RIG-1リガンド刺激により誘導されるIFNβTNFαの発現を比較した. PCR-Arrayシステムを用いてpolyl:C刺激下にTLR関連分子の発現を包括的に定量した.次に同経路の必須分子(MyD88IPS-1TRIFTRAF6)の発現を多数例で比較し同時に抑制因子(LGP2IRAK-MA20)の発現を比較した.定量比較には全てリアルタイムPCR法を用いた【成績】肝炎群においてTLR2一4RIG-1は有意に高発現であったがTLR3MDA5は両日で差を認めなかった.IFNβTNFqの誘導は肝炎群で著明に低かった.肝炎群では刺激によるCD80などの共刺激分子NFkB経路遺伝子群やIFNの発現が全体的に低下しておりシグナル経路の比較的上流での阻害が示唆された.必須分子のうちMyD88IPS-1の発現は肝炎群で高値であったがTLR3の必須分子TRIFとその下流のTRAF6の発現は肝炎群で有意に低下していた抑制因子IRAK-MA20の発現は肝炎群で低値であったがLGP2の発現は高値であった.【結論】C型慢性肝炎思者のMDCでは非感染者に比べてTLR2二4RIG-1の発現は日進しているがその下流であるNFKB経路IRF経路が全般的に抑制されており複数の阻害機序が存在する可能性がある.TLR3経路においてはHCV感染によるTLR3-TRIF-TRAF6への干渉が考えられMDC機能を賦活することで治療標的になり得ると考えられた
索引用語