セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

239 HCV関連リンパ増殖性疾患における血清B細胞増殖因子(BAFF/BLyS)

演者 打越学(昭和大学医学部第二内科)
共同演者 伊藤敬義(昭和大学医学部第二内科), 井口桃子(昭和大学医学部第二内科), 森川賢一(昭和大学医学部第二内科), 下間祐(昭和大学医学部第二内科), 井廻道夫(昭和大学医学部第二内科)
抄録 【目的】HCV関連の島外病変として混合型クリオグロブリン(Cg)血症や非ポジキンリンパ腫などのリンパ増殖性疾患(LPD)が知られている.このLPD発生機序は不明でHCVのB細胞感染による遺伝子変異が報告される一方でHCV感染で誘導・産生されるtrans-acting factorの存在も否定できない.B細胞増殖因子(BAFF/BLyS)は単球樹状細胞などで産生されB細胞の活性化生存などを制御する.またSLE等の自己免疫異常に関与する.最近HCV感染者でも血清BAFF濃度高値が報告されHCVのLPD発症機序の一つとされている.今回HCV感染者の血清BAFFについて他の慢性肝疾患患者と比較しLPDマーカーやインターフェロン(IFN)治療によるHCV排除後の変化について検討した.【方法】HCV感染者77例の血清BAFFをELISA法で測定した。更にLPDマーカー[CgRFCH50]の異常との関連IFN治療後SVR患者の血清BAFFの推移を解析したB型慢性肝炎39例自己免疫性肝炎28例原発性胆汁性肝硬変症35例健常者27例の血清BAFFも解析した【結果】血清BAFFはHCV感染者では健常者群に比べ有意に高値(HCV:α78±α65vs健常者=0.41±0.17ng/mL p<0.001)であったがLPDマーカー異常患者群と正常患者群の問で差はなかったIFN治療後のSVR患者でウイルス排除による血清BAFFの低下は認めなかった.C型慢性肝炎以外の慢性肝疾患患者でも血清BAFFは高値を示した.【結論】血清BAFFは他のLPDマーカーと異なり肝の慢性炎症により非特異的に上昇する可能性が示唆された.HCV関連LPD発症機序としてB細胞へのHCV感染による直接的影響以外に慢性肝障害が誘導するBAFF増加による間接的影響の関与も考える必要がある.
索引用語