セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

240 C型肝炎ウイルス感染に対する宿主細胞応答の解析

演者 田村彰教(日本大学院消化器肝臓内科)
共同演者 森山光彦(日本大学院消化器肝臓内科), 清水洋子(日本大学感染制御部門)
抄録 【目的】2005年にWakita等が培養細胞中での感染性HCV生成に成功し(Wakita et a1、 Nature medicine2005)現在HCVライフサイクルの全てのステップの解析またHCVに対する宿主細胞応答の解析が可能になった我々の施設でもWakita等の系を導入しウイルス感染時に発現されるVSG(Virus-Stimulated Gene)に注目しHCVに対する宿主細胞応答の解析を行った.【材料と方法】HCV(JFH-1株)をHuh7細胞またはHuh7-it細胞に感染させ培養細胞中のHCV-RNA量とHCV感染時に特異的に発現するVSG-mRNA量をReal T㎞e PCR法を用い定量測定を行った.またHCV感染により浮遊細胞が増えることに着目し付着細胞と浮遊細胞に分けてVSGを定量測定した.測定するvsGはHcv感染時に立ち上がる事が確認されているMxAvi-perinとp44を選択した【結果】培養細胞中のHCV-RNAは付着細胞よりも浮遊細胞で高いということが分かった.HCV量は付着細胞では48時間がピークであったが浮遊細胞では96時間まで増加が続いていた.今回測定を行ったVSG-mRNA(MxAp44Viperin)ではMxAは付着細胞で強く発現がみられたが浮遊細胞ではほとんど発現がみられなかった.p44は付着細胞ではほとんど発現がみられなかったが浮遊細胞で強く発現がみられた.Viperinは両細胞で発現が確認されHCV量とパラレルな関係がみられた.【考察】付着細胞と浮遊細胞で発現するVSGの違いがウイルス増殖の効率を異なるものとしている可能性が考えられた.またVSGが単に抗ウイルス効果を持つだけではなく他の様々な機能を持つ事が推測された.現在我々は個々のVSG誘導発現系細胞を作成しその1つ1つの機能の解析を行っている.
索引用語