セッション情報 | 一般演題(口演) |
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タイトル | 241 慢性HCV感染が肝マクロファージに与える影響 |
演者 | 細村直弘(山梨大学第一外科) |
共同演者 | 河野寛(山梨大学第一外科), 土屋雅人(山梨大学第一外科), 石井健一(山梨大学第一外科), 浅川真己(山梨大学第一外科), 牧章(山梨大学第一外科), 田中暢之(山梨大学第一外科), 松田政徳(山梨大学第一外科), 藤井秀樹(山梨大学第一外科) |
抄録 | 目的:慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染を背景とした肝細胞癌(HCC)の発症は肝炎発症より発癌までの期間が長く遷延する慢性炎症が発癌機序において重要な因子である.現在HCV感染において肝自然免疫系は感染急性期にはウイルス排除において重要な役割を果たしている事実が知られているが慢性期における役割について検討されている報告は少ない.そこでわれわれはHCVが引き起こす慢性炎症への肝マクロファージ(Mφ)の関与とHCC発症との関連を検討した.さらにHCV持続感染が肝Mφ機能に与える影響についても検討した.方法:肝臓でのCD68(Mφマーーカー)と酸化的DNA障害マーカー(80HdG)陽性細胞数を免疫組織染色法で評価し根治的術後HCC症例における術後再発期間の相関を検討した.また新鮮肝切除標本非腫瘍部より分離したヒト肝Mφを用いてHCV関連蛋白(coreNS3NS4NS5)刺激による炎症性サイトカインの産生とその機序を検討し、更にHCV感染の有無による差を検討した.結果:CD68と80HdG陽性細胞数の増加に伴い根治術後の無病生存率は有意に低下しCD68と80HdG発現には正相関を認めた.ヒト分離肝MφはHCV関連蛋白刺激で用量依存性に炎症性サイトカイン産生の増加を示し高濃度ではLPSと同等のTNFαの産生を誘導した.またLPS刺激による炎症性サイトカインの産生量はHCV感染例では非感染例より有意に産生量が増加した.一方HCV蛋白刺激による炎症性サイトカイン産生量はHCV感染の有無による差を認めなかった結論:HCV感染は慢性期においても肝Mφの活性化と炎症性サイトカインの産生を持続的に誘導することが示唆されそれに伴う酸化ストレスが術後HCC再発率に影響していると考えられた.自然免疫系は耳CV感染急性期にはウイルス排除において重要な役割を果たしているが慢性期においては持続炎症を誘導する原因の一つとなると考えられた. |
索引用語 |