セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

243 C型慢性肝炎にみられる鉄過剰状態へのhepcidinの関与

演者 藤田尚己(三重大学消化器内科)
共同演者 杉本龍亮(三重大学消化器内科), 本西哲(金沢大学自然科学研究科), 田中淳一朗(三重大学消化器内科), 別府徹也(三重大学消化器内科), 浦和尚史(三重大学消化器内科), 田中秀明(三重大学消化器内科), 山本憲彦(三重大学消化器内科), 小林由直(三重大学消化器内科), 岩佐元雄(三重大学消化器内科), 臼木克哉(三重大学消化器内科), 友杉直久(金沢医科大学総合医学研究所), 林久男(愛知学院大学薬学部), 竹井謙之(三重大学消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎(CHC)においては高率に肝臓を中心とした体内に鉄の過剰蓄積を認めるがその原因機序は不明である近年炎症性貧血(anemia of infiammation:AI)の原因物質として肝細胞より分泌されるhepcidinが同定され同ホルモンの分泌異常が様々な鉄代謝疾患に関与していることが解かってきた.今回我々はCHCにおける血清hepcidin量を測定しその鉄過剰状態との関連につき検討した.【方法】対象はCHC73例(M/F=44/2955.1歳)比較として健常人10例とAI患者10例(RA/ML/その他=5/2/3)の血清を用いた.血清hepcidinの測定にはSELDI-TOF-MS(Cipher-gen社製)を用いた. CHC59例では肝生検による肝組織を用いreal-time PCR法にてhepcidin mRNA量を測定した.【結果】CHCは健常人に比し有意に血清 hepcidin値が高く(65.9±49.3vs 342士15.6AUP冨002)AI患者より低かった(vs 110.5±29.5AUP<0.Ol)CHCにおいて血清hepcidinは肝hepcidn mRNA 9(r=0.786P<O.OOOI)や鉄過剰状態(vs血清フェリチン値:r=O.605P<α0001、 vs肝内鉄量:r=O797P<0.0001)と強くまたトランスフェリン飽和度(r=0.285P=O01)や赤血球数(r=0237P<0.05)とは弱く相関していた.鉄過剰に対する相対的なhepcidin量(hep-cidin/フェリチン比)はCHC(O32±0.33)で健常者(0.73±036P<O.Ol)やAI患者(0.65±024P<0.01)に比し有意に低唱であった. PEG-IFN+ribavirin療法にてSVRとなった12例では治療終了後血清hepcidin量は有意に増加し(69.8±24.5一・117.0±2&3AU)hepcidin/フェリチン比も回復(021±Oユ2→O.70±O.SO)した【結論】CHCにおいては肝でのhepcidin分泌は体内鉄動態と関連していた.しかしその発現量は相対的に減弱しておりt これが鉄過剰蓄積の増悪に繋がっている可能性が示唆された.
索引用語