セッション情報 一般演題(口演)

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256 高齢者の慢性C型肝炎患者に対するインターフェロン療法の認知機能に対する影響

演者 田中寛人(和歌山県立医科大学第三内科)
共同演者 上田弘樹(和歌山県立医科大学第三内科), 一ノ瀬正和(和歌山県立医科大学第三内科)
抄録 【はじめに】慢性C型肝炎患者に対するインターフェロン(】:FN)療法は広く普及してきており65歳以上の高齢患者に対して使用されることも少なくない.うつなどの精神神経症状は重要な副作用のひとつである我々は慢性肝炎患者に対し工FN投与による局所脳血流低下を示しIFN投与による高次脳機能の低下を報告(Tanaka Het aL Clin Exp Med 2006:6:124-128)しており高齢患者に対してIFN療法を行う場合精神神経症状を含む認知機能への影響は危惧されるところである.一方事象関連電位(Event-related potentials)は近年認知障害の電気生理学的指標として使用されているとりわけAuditory event-related potentials(P300)はアルツハイマー病のような神経疾患患者の認知障害との関連性が報告されている.IFN投与慢性C型肝炎患者の経時的なP300を測定しIFNの認知機能に対する影響や副作用との関連を評価した.【対象と方法】対象はIFN療法を施行する慢性C型肝炎患者22名(ペグインターフェロンα2a投与が7例ペグインターフェロンα2bとりバビリンの併用療法が13例その他のインターフェロン療法は2例)である.65歳以上を高齢者とすると高齢者群は9例tコントロール群は13例であった.IFN投与前から経時的にP300を測定した.また10例についてはSelf-rating Depression Scale(SDS)も同時に施行した.【結果】全症例の検討でIFN.投与により1週間目より有意なP300潜時の延長が認められ変化率は3ケ月目まで10%以上で経過した.しかしながら高齢者群とコントロール群の比較において治療前のP300は高齢者群で潜時延長する傾向が認められたが両群問で変化に差は認めなかったさらに年齢とP300潜時の変化率にも相関は認めなかったまた、SDSの変化とP3QO潜時の変化率にも相関は認めなかった.【考察】IFN投与による慢性C型肝炎患者の認知機能の低下が電気生理学的に示されその認知機能の低下は投与1週間目より認められたが年齢による影響は認められなかった.
索引用語