セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

274 GemcitabineとARB製剤の血管新生阻害作用に基づく膵癌発育抑制に対するアジュバント効果

演者 野口隆一(奈良県立医科大学第三内科)
共同演者 吉治仁志(奈良県立医科大学第三内科), 北出光輝(奈良県立医科大学第三内科), 鍛治孝祐(奈良県立医科大学第三内科), 浪崎正(奈良県立医科大学第三内科), 池中康英(奈良県立医科大学第三内科), 吉井純一(奈良県立医科大学第三内科), 簗瀬公嗣(奈良県立医科大学第三内科), 福井博(奈良県立医科大学第三内科)
抄録 【目的1膵癌は予後不良な難治性癌の代表であり近年抗癌剤としてgemcitabineが使用されさらには経口薬であるTS-1の併用がなされるようになり奏功率・生存率の向上が期待されている.しかし薬剤耐性による不応例などいまだ十分な効果があるとはいえない状況にある.大腸癌においては初の血管新生阻害剤ベバシズマブが日本でも製造承認され臨床応用されているが膵癌においては未だ使用のめどもたっていない我々は血管新生阻害作用を持つとされるAngitensin-H type 1 receptor拮抗薬(ARB)に注目しARB製剤である10sartanが膵癌の発育に影響を与えるか否か血管新生との関係を中心に検討しtさらにgemcitabineとの併用効果について検討した【方法】マウス膵癌株であるPanO2細胞をマウス皮下に接種し皮下膵癌モデルを作成gemcitabineを腹腔内注射でlosartanを飲料水に混じて投与した.コントロール(C)群gemcitabine(G)投与群losar-tan(L)投与群gemcitabine M独で効果が得られなくなったと判断された時期からlosartanを併用する併用(G+L)投与群の4群を設定し腫瘍発育抑制効果を比較検討した.血管二一については皮下腫瘍を採取し薪生血管の指標であるCD31の免疫染色用い検討した【結果】C群と比較しGL群では腫瘍抑制効果が有意(p<Oes)に認められたがG+L群においてはその腫瘍抑制効果は著しく増強され(p<O.OO1)Gしの単独投与群と比べても有意な抑制効果(p〈O05)を示していた.G+L群においてはC群に比べ腫瘍内の血管新生は著明に獅制されていた.【結論llosartanはマウス皮下膵癌モデルにおいて血管新生阻害作用を伴って有意な腫瘍抑制効果を示した.この抗二二効果はgemcitabineにlosartanを併用することによりさらに増強した.gemcitabinelosartanともにすでに臨床で広く用いられており今後の臨床応用の可能性が示された.
索引用語