セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

278 使用する造影剤によりERCP後膵傷害は影響を受けるか?

演者 鹿志村純也(水戸済生会総合病院消化器内科)
共同演者 有賀啓之(水戸済生会総合病院消化器内科), 皆川京子(水戸済生会総合病院消化器内科), 平井太(水戸済生会総合病院消化器内科), 柏村浩(水戸済生会総合病院消化器内科), 浅野康治郎(水戸済生会総合病院消化器内科), 仁平武(水戸済生会総合病院消化器内科), 中村光男(水戸済生会総合病院消化器内科)
抄録 【背景】内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は膵胆道系疾患の診断と治療において大切な手技であるが偶発症としての膵炎は臨床上大きな問題である.ERCPには一般に血漿浸透圧比約6のイオン性モノマー型ヨード造影剤が使用されているがその高い浸透圧とイオン性であることが膵傷害を惹起する可能性が考えられている.そこで今回浸透圧制約3の非イオン性モノマー型ヨード造影剤を用いてERCPを施行した際の膵傷害と比較検討してみた【目的】ERCP後転傷害における使用造影剤による影響の有無を明らかにする【方法】浸透圧比約6のイオン性モノマー型ヨード造影剤を用いてERCP関連手技を施行した52例(A群)と浸透圧内約3の非イオン性モノマー型ヨード造影剤を用いた52例(B群)について膵傷害(膵炎高アミラーゼ血症)の頻度とアミラーゼ上昇度を比較した膵炎予防のために手技開始前からメシル酸ナファモスタット(フサン)60mgを30時間かけて持続投与した.高アミラーゼ血症は検査翌朝に正常上限の3倍以上に上昇したものERCP後膵炎はCottonらの診断基準に従い膵酵素の上昇を伴いかつ24時間以上持続する膵臓由来の腹痛が生じたものと定義した【成績11)ERCP後膵炎の頻度:両月とも幸いに膵炎の発症はなかった2)高アミラーゼ血症の頻度:A群では7.7%(52例中4例)B群でも7.7%(52例中4例)で同等であった.3)アミラーゼ上昇度(=手技翌日のアミラーゼ値/手技前のアミラーゼ値):A群では3.40に対しB群では2〔》3と有意差はなかった(p=0.22)がB群で低い傾向がみられたまた各々の群での膵管造影例のみを検討するとA群で4.13B群では258であった.いずれの造影剤でも膵管造影がアミラーゼの上昇をより誘発する可能性が考えられた.【結論】ERCP関連手技を施行する際偶発症を最小限にするためにも使用する造影剤に十分な注意を払い不要な膵管造影を避けることが重要と考えられた
索引用語