セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

280 ERCP後にみられる血中唾液腺アミラーゼの上昇

演者 杵川文彦(香川大学消化器・神経内科)
共同演者 有友雄一(香川大学消化器・神経内科), 小野昌弘(香川大学消化器・神経内科), 鎌田英紀(香川大学消化器・神経内科), 小林三善(香川大学消化器・神経内科), 井上秀幸(香川大学消化器・神経内科), 内田尚仁(香川大学消化器・神経内科)
抄録 【目的1上部内視鏡検査の偶発症として咽頭損傷唾液腺腫脹頚部腫脹等が知られているがERCPと唾液腺との関連については不明である. ERCP後膵炎の診断においては血中アミラーゼ(AMY)を測定するのが一般的であるが腹部症状を訴えない患者においてもAMYが上昇する症例をしばしば経験する.このような場合には膵アミラーゼ(P-AMY)の上昇より唾液腺アミラーゼ(S-AMY)が有意に上昇している可能性があるがERCP後のS-AMYを検討した報告はない.今回ERCP後のS-AMYに関して検討を加えたので報告する【対象と方法1対象はERCP施行前(前)と翌日(後)にAMYP-AMYS-AMYを測定した47例である【成績】ERCP後膵炎の発症は認めなかった.AMYは前159±53 U/1後327±62 U/1P-AMYは前109±51U/1後161±37U/1S-AMYは前50±5U/L後165±46U/1であった. AMYとS-AMYはERCP前後において有意な上昇を認めたがP-AMYについては有意な変化を認めなかった.47例のうち膵管ブラッシング細胞診等膵管に処置を加えた14例について検討するとAMYは前110±25U/1後385±103U/1P-AMYは前67±20U/1、後310±97U/1S-AMYは前43±8U/1後75±14U/1で全項目において有意な上昇を認めた.膵管に処置を加えなかった33例について検討するとAMYは前180±74U/L後302±78U/1P-AMYは前127±72U/1後97±29U/1S-AMYは前53±8U/1後204±65U/1でS-AMYのみが有意に上昇していた.【結論】AMYが上昇しているにも拘わらず腹部症状のない症例においてはS-AMYが上昇しているものと考えられた. ERCP後膵炎の診断においては膵アミラーゼの測定が必要であると考えられた.ERCPにおいては内視鏡操作により唾液腺を損傷している可能性も示唆され口腔内損傷についても留意し愛護的な内視鏡操作を心がける必要がある.
索引用語