セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

293 アカルボースの長期投与はA170遺伝子欠失マウスにおける脂肪肝の発症を抑制する

演者 岡田浩介(筑波大学大学院消化器内科)
共同演者 正田純一(筑波大学大学院消化器内科), 山津桂子(筑波大学大学院環境分子生物学), 宇和山純也(筑波大学大学院環境分子生物学), 蕨栄治(筑波大学大学院環境分子生物学), 柳川徹(筑波大学大学院環境分子生物学), 石井哲郎(筑波大学大学院環境分子生物学), 兵頭一之介(筑波大学大学院消化器内科)
抄録 【目的】マウスA170は新規酸化ストレス誘導蛋白としてマウスマクロファージにて見出され(lshii 1996)その後類似蛋白としてヒトp62ラットZIPがチロシンキナーゼやPKCζにそれぞれ相互作用する蛋白質因子として報告された.A170遺伝子逸失(K:0)マウスは個体表現型として過食・肥満に加え耐糖能異常脂肪肝を合併しメタボリック症候群のモデルとなることが最近見出された.ct-glucosidase inhibitorであるアカルボース(グルコバイ)は2型糖尿病における食後過血糖改善薬であるが脂肪肝への効果は不明な点が多い。今回我々は脂肪肝を自然発症するA170 KOマウスにアカルボースの経口投与を行い肝脂肪化に対する抑制効果について検討したT【方法】15週齢のA170KOマウスにアカルボース(80mg/100g混餌食)を10週間経口投与し経時的に体重および血液生化学の測定を行った肝脂肪化は肝中性脂肪定量および病理組織学的に解析した.【結果】アカルボs一一・スを長期投与したA170 KOマウスではその摂食量に変化はなかったが対照に比較して体重の増加が有意に抑制された.また血清中性脂肪値の変化はなかったものの総コレステロール値は対照と比較して有意に低下した.肝機能ではALT値がアカルボース投与群で有意に低下した肝標本の解析ではアカルボース投与群において肝組織中の中性脂肪量が有意に低下し病理組織学的解析においても脂肪滴の占める割合は約45%から約25%と肝脂肪化が抑制された.【結論】アカルボースはA170KOマウスにおいて肝の脂肪化を抑制したアカルボースはメタボリック症候群に随伴する脂肪肝の発症予防ならびにその治療に有用である可能性が示唆された.
索引用語