セッション情報 |
一般演題(口演)
|
タイトル |
296 ATGLとCGI-58の肝発現量評価によるインスリン抵抗性と非アルコール性脂肪肝発症の関与の検討
|
演者 |
樋口野日斗(九州大学病態制御内科学) |
共同演者 |
加藤正樹(九州大学病態制御内科学), 古藤和浩(九州大学病態制御内科学), 中牟田誠(国立病院機構九州医療センター消化器科), 遠城寺宗近(九州大学病態制御内科学) |
抄録 |
【目的】非アルコール性脂肪肝(NAFLD)は肝細胞内に脂肪滴が異常に蓄積することにより発症する.脂肪酸や中性脂肪の合成促進により脂肪滴が増大するがNAFLDの発症にはインスリン抵抗性が関与していることが明らかにされている.脂肪組織における脂肪滴の分解は主にhormone-sensitive lipase(HSL)adipose triglyceride lipase(ATGL)が行っているHSLはPKAによるリン酸化により活性を制御される、また制御蛋白であるCGI-58は強力にATGLの活性を促進する. CGI-58は全身諸臓器に異常な脂肪沈着を発症するChanarin-Dorfman症候群における責任遺伝子である.肝細胞におけるこれらの遺伝子発現の変化により脂肪滴の中性脂肪分解が抑制されることが予想される.NAFLD発症におけるHSLATGLCGI-58の関与を検討するためにNAFLD肝におけるこれらの遺伝子の発現を検討した.【方法】2004年から2006年に当科で肝生検を行い組織学的にNAFLDと診断された28例と正常肝10例について検討を行った.NAFLDのうち13例はHOMA-IRが2.5以上のインスリン抵抗性を有していた.肝生検サンプルより抽出されたRNAを用いてRT-PCRを行いHSLATGLCGI-58発現量を比較検:討した.【結果1HsLATGLcGI-ssの発現はNAFLDと正常肝で有意差を認めなかった.インスリン抵抗性の関与を検討したところHOMA-IR2.5以上のNAFLD症例では2.5未満の症例と比較するとCGI-58の発現は約25%にATGLは約40%に有意に低下していた.空腹時インスリン濃度で比較しても同様の結果が得られた.【結論】インスリン抵抗性を有するNAFLD肝ではATGLやCGI-58の発現が低下することにより肝脂肪滴の分解が抑制されていることが示唆された.これらの遺伝子の発現の異常がインスリン抵抗性によるNAFLD発症・増悪の機序の一つであると考えられた |
索引用語 |
|