セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

297 コレステロールエステル蓄積症における酵素活性の測定と責任遺伝子の特定

演者 小嶋清一郎(東海大学消化器内科学)
共同演者 後町成輔(東海大学消化器内科学), 沼田誠(東海大学消化器内科学), 長田成彦(東海大学消化器内科学), 加川建弘(東海大学消化器内科学), 渡辺勲史(東海大学消化器内科学), 峯徹哉(東海大学消化器内科学), 小泉淳(東海大学画像診断学), 平林健一(東海大学病理診断学), 安田政実(東海大学病理診断学), 長村義之(東海大学病理診断学)
抄録 【はじめに】コレステロールエステル蓄積症(CESD)は酸性リパーゼ欠損に基づくまれな常染色体劣性遺伝疾患である.我々は肝硬変に進展したCEsDを経験したが今回当該酵素活性の測定と責任遺伝子の特定を行ったので報告する.【症例】症例は69才男性主訴は肝腫大.同学生時から肝腫大を指摘されていたが症状がないため放置していた.2005年近医で肝機能障害と脾腫を指摘され精査目的に入院となった肝を4横指脾を3横指触知する以外に異常所見なし.WBC 3400Hb 11.6Plt 62PT%85AST 25ALT 12LDH 123ALP 508γ一GTP 130Alb 4.2chE 205TG lo3Tc 122T.Bil o.3.腹腔鏡では肝は榿黄色のクレヨン様で斑紋結節肝を呈していた.病理所見では肝は肝硬変の像を示し線維性隔壁内に脂質成分を貧食し腫大したマクロファージの集籏像脂肪滴を食食し腫大したKupffer細胞を認めた.電子顕微鏡では脂肪滴にmoth-eaten appearance像を認めた.末梢血中の単核球抽出物を用いパルミチン酸一4一メチルウンベリフェロンを基質として酸性リパーゼ活性を蛍光スペクトルメトリーで測定した結果健常者が0.332±O.066 nmole/min/106であったのに対し本症例ではO.020と17分の1の活性であった.この患者の長女の酵素活性は0.174と健常者の半分の活性であった.以上よりCESDと診断した.次に白血球からtotal RNAを抽出して酸性リパーゼA(LIPA)をコードするcDNAを合成しdirect sequenceによって得た塩基配列をLIPAのライブラリーと比較した結果症例ではEXON7にN250H/N250Hの点突然変異が認められたこの遺伝子異常はこれまで報告がなく新規のものであった.【結語】肝硬変に進展したコレステロールエステル蓄積症を経験した.酸性リパーゼ活性は健常者の17分の1でLIPAにN250H/N250Hの点突然変異を認めた.
索引用語