セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

303 非アルコール性脂肪性肝疾患患者における自己抗体陽性率に関する検討

演者 北原征明(金沢大学医学部附属病院消化器内科)
共同演者 水腰英四郎(金沢大学医学部附属病院消化器内科), 金子周一(金沢大学医学部附属病院消化器内科)
抄録 【目的】近年欧米における非アルコール性脂肪性肝炎患者では抗核抗体が約20%に陽性であることが報告されており本疾患の発症および進展に関し免疫学的機序が関与している可能性が示唆されているしかしながら本邦における抗核抗体の陽性率や自己抗体陽性患者の臨床的特徴に関しては未だ不明な点が多い、そこで今回我々は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者における自己抗体の陽性率と抗体陽性患者における臨床像を検討した.【方法】1996年1月から2006年12月までに当施設においてNAFLDと診断された134例(男性86例女性48例診断時平均年齢48歳)を対象とした.これらの症例において抗核抗体および抗平滑筋抗体を測定し患者背景(BMI糖脂質代謝マーカー肝機能検査γグロブリン値肝線維化マーカー肝組織像発癌の有無)の比較検討を行った.【結果】自己抗体陽性率は抗核抗体陽性率339%抗平滑筋抗体陽性率3.48%いずれかの抗体陽性率34.6%であり既存の報告とほぼ合致する結果であった.抗体陽性および陰性患者別の比較検討では陽性患者において女性が有意(p<0.05)に多く高齢の傾向であった.陽性患者と陰性患者でのBMI糖脂質代謝マーカー肝機能検査γグロブリン値肝線維化マーカー生活習慣病の合併率に有意な差を認めなかった。診断時の肝組織像の検討では抗平滑筋抗体陽性患者において抗核抗体陽性患者および抗体陰性患者と比較し小葉中心領域の炎症が有意に(p<0.05)高度であり肝組織脂肪化に関しても抗核抗体陽性患者と比較し高度な傾向にあった.対象患者のうち4例で発癌を認めたが自己抗体陽性患者は1例であった.【結語】NAFLD患者における自己抗体陽性率が健常者と比較し有意に高率であることを確認した.抗平滑筋抗体陽性NAFLD患者では肝組織における炎症と脂肪化に免疫学的機序が関与している可能性が示唆された.
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