セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

310 Crohn病における上部消化管病変の検討

演者 伏谷俊朗(京都桂病院消化器内視鏡センター)
共同演者 日下利広(京都桂病院消化器内視鏡センター), 山川雅史(京都桂病院消化器内視鏡センター), 鳥居惠雄(京都桂病院消化器内視鏡センター)
抄録 【背景と目的】Crohn病(以下CD)は全消化管に病変を生じうる原因不明の炎症性腸疾患である.その上部消化管病変の頻度は一般に低いとされているが確定診断に苦慮する症例が上部消化管内視鏡検査(以下uGIE)の結果診断に至ることも報告されている今回われわれはuGEにて指摘された上部消化管病変により確診に至ったCDを経験した経緯をふまえ当センターにおけるCDの上部消化管病変の特徴を検討しその臨床的有用性について検討する.【対象と方法】2000年4月~2007年10月までに当センターにてCDと診断された38症例(確診36例加糖2例)のうちuGIEを施行された35例(性別:男:女;27:8年齢:15~67歳中央値:3a5歳)をretrospectiveに解析した【結果】35例の内微細な物を含め上部消化管病変の認められた物は27例(77%)であった.上部消化管病変の内訳は胃体部から噴門部小湾の竹の節状外観:16例(45%)胃前庭部のアフタ縦走びらん:10例(28%)十二指腸アフタ縦走びらん:10例(28%)食道の打ち抜き様縦走潰瘍:3例(9%)口腔内アフタ:2例(6%)であった.特に竹の節状外観は高い検出率であったまた生検にて食道縦走潰瘍十二指腸アフタびらんを認めた2例(6%)でgranulomaを検出した.下部消化管検査では特異的な所見を認めずuGIEにて診断(疑診2例を含む)に至った症例はgranulomaの検出された2例を含む4例(12%)であった.【総括】CDの上部消化管病変の有所見率は極めて高く特に竹の節状外観胃十二指腸アフタ縦走びらんはその中でも比較的頻度の高いものであった一般にgranulomaの検出率は10~20%と低いが当センターでの検討でも同様の結果であった.したがって組織学的な確定診断が困難な症例も少なからず存在する現況で全消化管に病変を生じうるCDの上部消化管病変はCDの診断確定に極めて重要であると考えられた.現在も尚診断に苦慮し難治性の経過をたどるCDは多く一般病院でも比較的簡便に施行可能なuGIEでのCDの上部消化管病変の診断は臨床的に極めて有用であると考えられた.
索引用語