セッション情報 | 一般演題(口演) |
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タイトル | 314 クローン病患者における末梢血血小板の果たす役割:選択的血小板除去による検討 |
演者 | 福永健(兵庫医科大学内科下部消化管) |
共同演者 | 戸澤勝之(兵庫医科大学内科下部消化管), 上小鶴孝二(兵庫医科大学内科下部消化管), 樋田信幸(兵庫医科大学内科下部消化管), 大西国夫(兵庫医科大学内科下部消化管), 應田義雄(兵庫医科大学内科下部消化管), 日下剛(兵庫医科大学内科下部消化管), 吉田幸治(兵庫医科大学内科下部消化管), 長瀬和子(兵庫医科大学内科下部消化管), 中村志郎(兵庫医科大学内科下部消化管), 三輪洋人(兵庫医科大学内科上部消化管), 松本譽之(兵庫医科大学内科下部消化管) |
抄録 | 【目的】慢性期・活動期クローン病(CD)患者の病態に末梢血血小板(PPL)が果たす役割に着目臨床的・免疫学的に検討するべく遠心式血球成分分離装置を用いて実際に選択的血小板除去を行い新たな治療法としての選択的血小板除去(Selective Platelet Removal Therapy:SPRT)の可能性を評価した.【方法】当院倫理委員会の承認と充分なinformed consentの上小腸大腸型CD患者3例にSPRTを導入した. SPRTはHemonetics CCSを用い毎回約2400ml/回の末梢血を処理し目的PPL除去量は4.Ox1011個/回に設定した.回盲部切除・回腸人工肛門造設術施行直後の症例(25歳女性)と外来活動期患者(28歳男性)には4週毎に入院TPN下の初発急性期の患者(27歳男性)に対しては毎週1回の施行を10回行った.毎回施行直前・後に末梢血を採取血液生化学的・免疫学的検討を加えた.【成績】いずれの症例においてもSPRTは安全に施行できたが明らかな病態改善には至らなかった.各回の平均血小板除去率は32.6%(P<0.02).赤沈(P〈0.02)とCRP(P〈0.02)の有意な改善が証明された.白血球数はSPRT前後で有意差はなかった.また施行前後で血漿ICAM-1VCAM-1の有意な減少(P<0.05)を認めた.血漿β一トロンボグロブリン血小板第四因子(PF-4)はSPRT後増加する傾向が認められた【結論】サイトカイン産生や白血球活性化の誘導などによる急性期炎症反応へのPPLの直接的作用が注目されまた末梢血管内皮細胞傷害とその結果としての微小血管炎を起因とする微小血管塞栓がCDの病態発現に重要な役割をもつと報告されている今回の検討でPPLの選択的除去が血管内皮細胞障害を改善し炎症反応を抑制する白血球除去によらない新しい抗炎症治療となる可能性が示唆されたが実用化には至適施行条件などの更なる検討が必要であると思われた. |
索引用語 |