セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

334 腹部超音波検査が診断に有用であった孤立性上腸間膜動脈解離の1例

演者 大廻あゆみ(鳥取生協病院内科)
共同演者 宮崎慎一(鳥取生協病院内科), 奥田憲太郎(鳥取生協病院内科), 阿南隆洋(鳥取生協病院内科), 岡田睦博(鳥取生協病院内科), 野田裕之(鳥取生協病院内科), 守山泰生(鳥取生協病院内科), 鈴木一則(鳥取生協病院外科), 竹内勤(鳥取生協病院外科)
抄録 【はじめに】大動脈解離を伴わない仙腸間膜動脈(以下SMA)解離は極めて稀な疾患であるが近年の画像診断の発達に伴い無症状の症例も報告されるようになってきた.今回われわれは腹痛で発症し腹部超音波検査が診断に有用であった孤立性SMA解離を1例経験したので若干の考察を加えて報告する.【症例】症例は49歳男性.高血圧B型慢性肝炎にて当院内科外来通院中であった.2007年5月21日突然心窩部痛が出現し徐々に増強背部痛も伴うようになり当院受診.大動脈解離を疑い腹部造影CT検査を施行したところSMAの狭小化を認めSMA血栓症疑いにて入院となった.絶食の上ヘパリン1万単位/日の投与にて治療を開始したところ自覚症状は徐々に改善した.5月26日の腹部造影CT検査でもSMAの狭窄は改善していた.5月30日放射線科よりSMA解離も否定できないとのコメントがあり同日腹部超音波検査を施行したところSMA内に且apを認めSMA解離と診断した.その後も症状の悪化は見られず6月5日退院となった.【考察】孤立性SMA解離は極めて稀な疾患であり40~50歳代の男性に多いと言われている.季肋部痛背部への放散痛背部痛などで発症することが多く本症例も典型例であると思われた.治療は解離腔が開大して真理を圧迫閉塞し腸管虚血があれば外科的治療をなければ血栓溶解療法や抗凝固療法などの保存的治療が主体となる本症例はCT上SMAの血流は保たれており保存的治療を選択したしかし当初はSMA血栓症を疑っておりより早期に腹部超音波検査を行い正確な診断をすべき症例だったと思われる.SMA解離は稀ではあるものの緊急を要する疾患であり腹痛を主訴とする患者には常に念頭に置くべきであると思われた。
索引用語