セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

347 胃癌発症予測リスクスコアの作成:久山町研究

演者 志方健太郎(九州大学・環境医学)
共同演者 土井康文(九州大学・病態機能内科), 有馬久富(九州大学・環境医学), 谷崎弓裕(九州大学・環境医学), 米本孝二(九州大学・環境医学), 秦淳(九州大学・環境医学), 池田文恵(九州大学・環境医学), 浅野光一(九州大学・環境医学), 宮崎正史(九州大学・環境医学), 松本主之(九州大学・病態機能内科), 飯田三雄(九州大学・病態機能内科), 清原裕(九州大学・環境医学)
抄録 【目的1日本人は胃癌のリスクが高いことがよく知られている.したがって胃癌発症の高リスク者を同定する方法を考案することは予防医学上重要な課題である.本研究では久山町の地域住民の追跡調査の成績を用いて胃癌発症の予測に有用と考えられるリスクスコアを検討・作成した.【方法】1988年に久山町の住民健診を受診した40歳以上の住民(受診率80.9%)の中で胃癌および胃切除歴のある者を除きさらに血清ペプシノゲン値H. pylori抗体価を測定できた2382名を対象とした.この集団を14年間追跡して追跡開始時の危険因子と胃癌発症との関連をCox比例ハザードモデルで検討しβ係数をもとにスコア値を算出した.そして各危険因子のスコア値の合計で構成される胃癌発症の予測リスクスコアを作成した【成績】多変量解析で胃癌発症と有意な関連があった性年齢萎縮性胃炎高食塩摂取空腹時血糖値喫煙に加えてH. pylori感染の7つの因子を用いて胃癌発症の予測リスクスコアを算出した対象者をリスクスコア値の4分位により4群に分けて胃癌発症率(対1000人年)を求めると第1群(0~8点)O.O第2群(9~12点)1.40第3群(13~15点)3.23第4群(16~25点)&24とリスクスコア値が上昇するにつれ胃癌発症率は有意に上昇した.リスクスコア値が1上昇した際の胃癌発症のハザード比は1.30(95%信頼区間124-1.36p<0.0001)であった.ROC曲線を用いて胃癌発症を予測するうえで最適なリスクスコアのカットオフ値を検討するとリスクスコア15点以上をリスクスコア陽性とした場合胃癌発症の検出感度0.76特異度0.68で両者が最大となり陰性適中率は0.98であった.全対象者の33.4%がリスクスコア陽性であった.【結論】一般の健診で測定可能な危険因子を用いて胃癌発症を予測するリスクスコアを作成した.胃癌の予防指導に活用できると期待される.
索引用語