セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

352 遺伝性胃底腺ポリポーシスの2家系

演者 藤澤律子(九州大学病態機能内科学)
共同演者 松本主之(九州大学病態機能内科学), 土亀直俊(熊本県総合保健センター), 中村昌太郎(九州大学病態機能内科学), 梁井俊一(九州大学病態機能内科学), 具島正樹(九州大学形態機能病理学), 王寺裕(九州大学形態機能病理学), 八尾隆史(九州大学形態機能病理学), 富永雅也(佐世保中央病院), 飯田三雄(九州大学病態機能内科学)
抄録 症例1は50歳代女性、2005年1月に心窩部痛が出現し佐世保中央病院を受診上部消化管内視鏡検査で弩隆部から胃体部に密在する小ポリープを指摘され精査目的で当科紹介入院となった.入院時検査成績では明らかな異常を認めず尿素呼気試験血清ヘリコバク門田IgGは陰性であった.上部消化管内視鏡では胃体部弩隆部前後壁に亜有形性の小ポリープが密在し胃底腺ポリポーシスの所見であった.弩隆部大網側にやや槌色調で隆起が不明瞭化した領域を認め生検病理組織検査ではGroup Vであったため胃底腺ポリープを母地として発生した胃癌と診断し胃全摘術が施行された.切除標本では一部で粘膜下層に浸潤していたが粘膜層を主体とする高分化型腺癌の所見であったが他の胃底腺ポリープにdys-plasiaは認められなかった.患者の家族7人中5人に同様の密在する胃底腺ポリポーシスを認めたがAPC遺伝子変異は陰性であった.症例2は16歳女性. 1981年に腹痛のため熊本大学病院を受診した.上部消化管X線検査で胃底部から体部に密在する小隆起を認めた.患者の42歳の母親48歳の叔父にも同様の密在する隆起を認めた.家族および患者にその他の消化管病変は認めず家族性大腸腺腫症は否定的でAPC遺伝子変異も陰性であった.胃底腺ポリポーシスは家族性大腸腺腫症に高頻度に合併することが知られ従来癌化しない病変として認識されてきたが近年胃底腺ポリポーシスのdysplasiaや癌化の報告がなされるようになった.自験例のようにAPC遺伝子変異陰性で他の消化管に腺腫を認めないにも関わらず高率な家族歴を有する胃底腺ポリポーシス症例においては胃癌のハイリスク群として注意深い経過観察が必要であると考えられた
索引用語