セッション情報 |
パネルディスカッション21(消化器外科学会・消化器病学会合同)
局所進行膵癌に対する治療戦略
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タイトル |
外PD21-6:局所進行膵体部癌の集学的治療における局所制御術式DP-CARの意義
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演者 |
土川 貴裕(北海道大大学院・消化器外科学分野II) |
共同演者 |
平野 聡(北海道大大学院・消化器外科学分野II), 田中 栄一(北海道大大学院・消化器外科学分野II) |
抄録 |
【背景】腹腔動脈周囲へ進展する局所進行膵体部癌に対し、当科では根治術式としてDP-CAR(腹腔動脈幹合併切除を伴う尾側膵切除術)を適用してきた。2006年以降はGemcitabineまたはS-1による術後補助化学療法を原則施行している。また2007年以降は診断時非切除膵体部癌に対しても6ヶ月の化学(放射線)療法後に治療効果を認め根治切除可能と判断した症例に対しても積極的に本術式を適応してきた。【目的】DP-CAR施行症例の成績をretrospectiveに検討し、進行膵体部癌の新しい治療戦略の可能性を検証する。【対象】1999-2010年3月までにDP-CARを施行した59例を対象とした。手術先行群の適応は局所進行膵体部癌で、遠隔転移なく、腹腔動脈・総肝動脈周囲および脾動脈根部周囲神経叢に接する腫瘍で、胃十二指腸動脈および上腸間膜動脈が温存可能であり、上腸間膜動脈周囲神経叢への癌進展が腹側半周以内にとどまるものとしている。【結果】手術先行群(53例)ではStageIII/IVa/IVb=9/34/10。R0手術を49例(92%)に施行し得た。術後合併症は33例(62%)、在院死は3例(6%)。術後補助化学療法施行は22例に施行。5年生存率/50%生存期間=35%/25ヶ月であった。術後補助化学療法の有無の比較(在院死3例を除く)では、施行群で有意に生存率が良好であった(P=0.003, Logrank test)。診断時非切除群(6例)ではStageIVaが6例であった。非切除理由はSMA神経叢浸潤1例,CA浸潤1例、GDA浸潤4例、PHA浸潤1例であった。化学療法施行期間中央値は22 (8-44)ヶ月。CR:PR:SD=1:2:3例。癌遺残度はR0:R1=5:1であった。観察期間中央値は31 (22-46)ヶ月であり、32ヶ月で腹膜播種再発死亡した1例を除く5例が無再発生存中である。【結語】DP-CARによる局所制御と集学的治療法を組み合わせることにより進行膵体部癌に対して比較的良好な治療成績を得ることが可能であった。診断時切除不能の膵体部癌症例では化学療法を施行したのち、SD以上の効果があれば切DP-CARを考慮しても良いが、今後症例を蓄積してさらなる検討をする必要がある。 |
索引用語 |
DP-CAR, 膵体部癌 |