セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

382 脂肪性肝疾患における冠動脈疾患死亡率に内臓脂肪蓄積が関与する-NIPPON DATA80を用いた検討

演者 中下俊哉(江口病院消化器科)
共同演者 江口有一郎(佐賀大学内科), 石橋絵理子(江口病院消化器科), 大座紀子(佐賀大学内科), 北島陽一郎(江口病院消化器科), 水田敏彦(佐賀大学内科), 小野尚文(江口病院消化器科), 江口尚久(江口病院消化器科), 藤本一眞(佐賀大学内科)
抄録 【目的】脂肪性肝疾患(FLD)は基本病態に内臓脂肪蓄積が存在しメタボリックシンドローム(MS)と密接に関係している消化器疾患である. MSは心血管疾患(CVD)イベント予防の見地から注目されている. FLDのCVD発症に対するリスク管理に関しての検討は十分ではない.今回はFLDの診療を行う際にCVDのリスクにどのような因子が影響を及ぼすのかを検討した.【方法】対象は04.1月~07.8月までに受診し腹部エコーを実施された2111例の中で脂肪肝と診断された291例としたウイルス性・自己免疫性肝疾患を除外した.全例にCTによる内臓脂肪面積測定肝胆道系酵素糖・脂質を含む生化学検査を施行した.各症例のマルチプルリスクファクターとして年齢(40~79歳)・喫煙習慣の有無・糖尿病の有無・血清総コレステロール値・収縮期血圧を説明変数とし10年後の冠動脈疾患(CHD)死亡率を評価予測するリスク評価チャートNIPPON DATA80(Circ J701249-552006)を用いてCHD死亡高リスク群低リスク群に区分した.これらのマルチプルリスクファクター以外にリスクに寄与する因子をMann-Whitney U検定で検討した.【結果】症例は141例であり年齢57±9.8歳男/女:67/74BMI 26.5L/S比1.08ALT 34内臓脂肪面積138.1 cm2であったCHD死亡高リスク群と低リスク群の比較では肝胆道系酵素L/S比中性脂肱インスリン抵抗性(HOMA-IRQUICKI)のいずれも有意差を認めなかったウエスト周囲径に有意差はなく唯一 CTで測定算出した内臓脂肪面積で有意差を認めた(p<0.01).【結論】脂肪肝においてCHD死亡率の高リスク群は内臓脂肪型肥満であった.FLDはMSの肝における表現形であるがCTで評価し内臓脂肪過多の場合には特にCHDの発症に留意する必要があることを示す結果であった.
索引用語