セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

397 若年性皮膚筋炎に合併し5年の経過で線維化の進行を肝組織像にて確認し得た非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の一例

演者 窪田智之(新潟大大学院消化器内科)
共同演者 小林真(新潟大大学院消化器内科), 高村昌昭(新潟大大学院消化器内科), 五十嵐正人(新潟大大学院消化器内科), 川合弘一(新潟大大学院消化器内科), 松田康伸(新潟大大学院消化器内科), 野本実(新潟大大学院消化器内科), 青柳豊(新潟大大学院消化器内科)
抄録 【症例】20歳男性【現症】身長165cm体重56.9kg(BMI 209)【現病歴及び経過】2001年(15歳)から顔面の蝶形紅斑その後腫脹を伴う手指関節痛皮疹全身皮下の石灰化が出現した.発症時よりAST・ALTは50~2001U/mlで推移し腹部USで脂肪肝を指摘されていた.2001年に近医の肝生検で単純性脂肪肝と診断されウルソデオキシコール酸ポリエンフォスファチジルコリンを内服したが肝障害は改善しなかった.また関節症状改善の目的でプレドニゾロン5mg内服を開始されたがAST・ALTは300~5001U/mlと上昇したため中止された.上記症状の精査加療のため2006年2月当院膠原病内科に入院し若年性皮膚筋炎と診断された.当院入院中も食事療法で肝障害が改善しないため同年4月エコー心肝生検を施行した島細胞の著明な脂肪化好中球浸潤を伴う風船様腫大中心静脈周囲性線維化と架橋形成を伴う門脈域の線維化を認めNASH(grade 3stage 3)と診断した.高脂血症・境界型糖尿病を合併していた.2001年の肝生検:標本を見直すと70%の大滴性脂肪変性に加え軽度の中心静脈周囲性線維化を認めた.炎症細胞浸潤は極軽度であったがNASH(grade l stage 1)の病態であった可能性が示唆された.膠原病を合併した若年発症のNASHで肝組織の経時的変化を確認できた貴重な症例と考えられた.治療として食事・運動療法に加えピオグリタゾンプラパスタチンビタミンC・Eなどを試みているが現在まで肝酵素が正常化せず治療に苦慮している.当科で2005年以降に病理組織学的にNASHと診断された14例との比較検討と併せて報告する.
索引用語