セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

408 高齢者総胆管結石の治療法の選択

演者 柘野浩史(津山中央病院消化器科内視鏡センター)
共同演者 太田茂(津山中央病院消化器科内視鏡センター), 森藤由紀(津山中央病院消化器科内視鏡センター), 友田健(津山中央病院消化器科内視鏡センター), 榊原一郎(津山中央病院消化器科内視鏡センター), 西田知弘(津山中央病院消化器科内視鏡センター), 三好健司(津山中央病院消化器科内視鏡センター), 今川敦(津山中央病院消化器科内視鏡センター), 藤本剛(津山中央病院消化器科内視鏡センター), 谷口英明(津山中央病院消化器科内視鏡センター), 平良明彦(津山中央病院消化器科内視鏡センター), 藤木茂篤(津山中央病院消化器科内視鏡センター)
抄録 【目的1総胆管結石の治療は内視鏡的十二指腸乳頭切開術(EST)などによる結石除去が原則であるが高齢者では重篤な基礎疾患や寝たきりなどの事情で処置に困難が伴う症例にしばしば遭遇する.我々はこのような症例には内視鏡的胆道ステント留置術(EBD)のみで長期間管理する方法を実施しその有用性を報告してきた.今回我々はEBDの治療効果や安全性および治療後のQOLについてESTによる結石除去術と比較し高齢者の総胆管結石の治療法の選択について検討した【方法1当院で過去7年間に胆道内視鏡的治療を実施した1459件のうち80歳以上の総胆管結石173症例(のべ件数227件)でEBDを実施した86例(137件)とESTを実施した87例(90件)について1)治療に伴う短期合併症2>胆管炎の長期再発3)治療後のQOLに重要な早期離床について検討した.【成績11)短期合併症はEBD群3件(2.9%=膵炎2件胆管炎増悪1件)EST群5件(5.6%:膵炎4件穿孔1件)に出現した.いずれも軽症で保存的治療で軽快した2)胆管炎の長期再発はEBD群(3年再発率50.9%)がEST群(同1&8%)よりも多く(pく0.01)再発までの平均期間はEBD群(2.4年)がEST群(4.2 ff)よりも短かった(p<O.Ol).胆管炎再発時にはいずれの群も安全に再治療が可能で胆管炎による死亡例は一件も無かった.3)処置後の平均入院日数はEBD群6.5日EST ff 101日とEBD群が短く(p<0.01>EST群で処置が一回で終了した症例(&1日)よりもEBD群がさらに短かった(p<OOl).【結論11)EBDはESTより根治性は劣るが安全かつ低侵襲で早期離床可能でQOL上有利な治療法である.2)EBDの良い適応は全身状態や生命予後が不良あるいは早期離床が必要な高齢者で複数回の内視鏡的処置が困難かつ1回の処置では完全結石除去が見込めない症例と考えられた.3)これらの患者背景やQOLを十分に考慮して選択すればEBDは高齢者総胆管結石の積極的な治療法となりうると考えられた.
索引用語