セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

411 肝胆膵外科疾患に対するNSTの現状とアウトカム評価

演者 塩見尚礼(滋賀医科大学消化器外科)
共同演者 佐々木雅也(滋賀医科大学栄養治療部), 仲成幸(滋賀医科大学消化器外科), 畑和憲(滋賀医科大学消化器内科), 五月女隆男(滋賀医科大学救急集中治療部), 来見良誠(滋賀医科大学消化器外科), 藤山佳秀(滋賀医科大学救急集中治療部), 谷徹(滋賀医科大学消化器外科)
抄録 【目的】滋賀医科大学附属病院では平成15年7月に全科型NSTを稼働させすでに1000例を超える症例に栄養学的介入をおこなっている。肝胆膵外科患者は肝切除術や膵頭十二指腸切除術など腹部手術の中でも侵襲度の高い手術を受けることから栄養障害に陥りやすい.今回肝切除術周盛期重症急性膵炎急性期幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)周術期患者に対するNSTの関わりとその成果について検討した.【方法】(1)肝切除症例12例に対して周術期の安静時エネルギー消費量(REE)呼吸商(RQ)BIAによる体組成の変化を測定したまたHar・ris-Benedict(HB)式より算出した基礎代謝(BEE)と比較検討した.(2)重症急性膵炎症例6例に対してREEを測定しBEEとの比較を行った.(3)PPPD症例15例をNST介入群非介入群に分けNSTによる介入が与える影響を検:討した.【結果】(1)肝切除術後患者では肝切除後の代謝充進に対して必要エネルギーが充足できていなかった.現在アミノレバン(TM)の投与による術後経過に対する影響について検討を行っている.(2)重症急性膵炎急性期では発症初期のREEはBEEの平均1.6倍となるが23週間後REEは急速に低下していた. REE値を参考に十分な栄養投与が可能となり入院期間や医療費の削減に寄与できた.(3)PPPD術後患者では術後全合併症SSI発生率膵空腸吻合部縫合不全の発生率すべてNSTなし群で高かったまた総リンパ球数はNSTなし群で術後1週間目に有意に低下しAlb値は術後3ヶ月目にはNST介入群で有意に高値となった.【結論】専門的な知識をもつ多職種が集まったチームにより個々の病態に対してオーダーメイドの栄養療法を実践できるNSTの介入は重度の栄養障害に陥りやすい肝胆膵外科患者の臨床経過を良好にすることが示唆された.
索引用語