セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

437 脾動脈遮断による脾組織血流の変化

演者 山口真彦(獨協医科大学越谷病院外科)
共同演者 山川景子(獨協医科大学越谷病院外科), 松本匡史(獨協医科大学越谷病院外科), 中村哲郎(獨協医科大学越谷病院外科)
抄録 【背景・目的】低悪性度の膵体尾部腫瘍に対する手術では脾臓温存が推奨され脾動静脈を温存する手技が一般的であるがより簡便に脾動静脈を合併切除する手技も行われ時に術後脾梗塞がみられる.そこで脾動脈遮断による脾組織血流の変化を検討した.【対象・方法】2006年8月から2007年9月まで期間内に当科で胃癌手術を行った15例を対象に術中大網切離後に分岐直後の脾動脈中枢側をテーピングし肝外側区胃前壁横行結腸前面の組織血流を測定後脾動脈遮断前後の脾組織血流をレーザードップラー組織血流計(ADOVANCE剥製)を用いて測定した.なお測定値は絶対値ではないため単位は付していない統計学的検:討はW且coxon testを用いた.【結果】対象は平均年齢61.5歳男女比8:7stage Ia-IVであったが腫瘍による脾動脈脾臓膵への影響はみられなかった.平均組織血流は肝外側区で305胃前壁:30.3横行結腸:27.8脾動脈遮断前の脾組織血流は12.7遮断後は9.1で遮断による脾組織血流遺残率は平均74.8%であった.脾組織血流は肝胃結腸などの組織血流に比して有意に低く脾動脈遮断前後でも有意な差がみられた.(いずれもp<O.Ol)【考察】脾組織血流は肝胃結腸などの組織血流に比して1/2以下と少なく血球のプールとしての機能以外腹腔臓器としては特に消化吸収の機能はみられないことの証左と思われた.また脾動脈遮断による脾組織血流の変化として50%から100%(平均で約75%)の血流が保存されることから脾動脈の中枢側遮断では脾梗塞を起こす確率は極めて低いものと思われた.
索引用語