セッション情報 | 一般演題(口演) |
---|---|
タイトル | 439 肝移植後の新規MRSA保菌獲得の意義 |
演者 | 端本昌夫(東京大学移植外科) |
共同演者 | 菅原寧彦(東京大学移植外科), 田村純人(東京大学移植外科), 金子順一(東京大学移植外科), 松井郁一(東京大学移植外科), 森屋恭爾(東京大学感染症内科), 小池和彦(東京大学感染症内科) |
抄録 | 背景:肝移植後にMRSA保菌を新規に獲得することが移植後のMRSA感染症の危険因子であるかどうかはまだ検討されていない.方法:1996年1月から2004年11月目間に当科で施行した成人生体肝移植242例のうち移植前MRSA非保菌者であった219例のデータ(細菌学的検査を含む診療記録)を入院から移植後3ヶ月までを後ろ向きに調査した入院中は定期的(入院後から移植後1か月まで週2回移植後1か月以後は週1回)に監視培養(鼻腔咽頭喀疾尿.便胆汁腹腔内からの排液)を細菌学的検査に提出した.感染が疑われる場合は血管内カテーテル血液も細菌学的検査に提出した.院内感染症を米国疾病対策センターの基準により定義しその感染症の原因がMRSAによると判断された場合をMRSA感染症と定義した.移植後MRSA感染症の危険因子を単変量多変量解析を用いて検討した.結果:18例が移植後にMRSA感染症を発症した.18例中9例はMRSA感染症の発症前に新規MRSA保菌を獲得していたが残りの9例はMRSA感染症発症までにMRSA保菌は認めなかった.期間中T 29例はMRSAを保菌したが無症状であった. MRSA感染症を発症した患者18例のうち9例が手術部位感染症によるものであった1例が胃腸系感染症による二次性の菌血症を発症した.MRSA感染症の治療は抗菌剤投与(12例)抗菌剤投与+再手術(2例)再手術(2例)ドレーン洗浄(1例)s創部洗浄(1例)を行った.長い手術時間(16時間以上;オッズ比327)移植後のMRSA保菌(オッズ比7.13)が移植前MRSA非保菌者における移植後のMRSA感染症の独立した危険因子であった結論:移植前MRSA非保菌者においても移植後のMRSA感染症発症の高危険群を把握するために監視培養は移植後も定期的に行うべきである. |
索引用語 |