セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

452 潰瘍性大腸炎手術患者術後morbidity改善のための周術期好中球分離培養による免疫能の解析及びその臨床応用

演者 吉山繁幸(三重大学消化管・小児外科)
共同演者 三木誓雄(三重大学消化管・小児外科), 大北喜基(三重大学消化管・小児外科), 荒木俊光(三重大学消化管・小児外科), 楠正人(三重大学消化管・小児外科)
抄録 【背景】潰瘍性大腸炎(UC)手術では高率に手術部位感染(SSI)をはじめとする術後合併症を来す我々はUC患者の血球を分離しUC患者の好中球機能異常について報告してきた.またこの結果を応用し術直後にprimingされた好中球を除去することでSSIの発生を抑制できる可能性について報告してきた.【目的1術後白血球除去療法(LCAP)の有用性及び作用機序について検討を行なう【方法11.2000年以隆に回腸嚢肛門吻合(IAA)を施行した126例が対象.術後LCAP施行群43例非施行群83例について検討を行なった.2.当科でIAAを施行されたUC患者(UC群n=20)の術前術直後術後LCAP施行後対照群として健常者(Co群n=30)大腸癌患者(Ca群n=10)の術前術直後より末梢血を採取し好中球を単離した.これら好中球とEcoliを3時間共培養しFACSにてapoptosis assayを行なった.また上清中の好中球エラスターゼ産生能についてLCAP前後で比較したUC群好中球はLPSIL-1β添加の条件下に単培養を行ないLCAP前後の炎症性サイトカイン産生能を比較した.【結果】1LCAP施行群ではSSI発生率は9.5%と非施行群37%と比べ有意にSSIの発生率を抑制していた.2.術前UC群において細菌共培養後の細胞死はCo群術前Ca群に比べne-crosis優位であった術直後のUC群とCa群の比較でも同様の結果であった.LCAP施行によりUC群の細胞死はnecrosisがCo群のレベルまで低下していた.好中球エラスターゼ産生能はLCAP前後で減少していた. LCAP施行前後で好中球の几一6産生能は低下していた.【結論】UC手術直後のLCAP施行によりSSIの発生は抑制されていた.臨床検体を用いた検討において術直後LCAP療法によりUC患者末梢血好中球の細菌貧食後のnecrosisを低下させ好中球エラスターゼの放出を抑制していた.また単培養においてもIL-6産生能を抑制していた.これらの機序によりSSIが抑制されている可能性が示唆された.
索引用語