セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

455 新しい分子生物学的手法による大腸全摘術後便中細菌叢の経時的解析

演者 神山篤史(東北大学胃腸外科)
共同演者 福島浩平(東北大学胃腸外科), 柴田近(東北大学胃腸外科), 三浦康(東北大学胃腸外科), 小川仁(東北大学胃腸外科), 小林照忠(東北大学胃腸外科), 上野達也(東北大学胃腸外科), 小山淳(東北大学胃腸外科), 長尾宗紀(東北大学胃腸外科), 舟山裕士(東北労災病院外科), 高橋賢一(東北労災病院外科), 林啓一(東北大学胃腸外科), 佐藤学(東北大学胃腸外科), 辧野義己(理化学研究所微生物機能解析室), 佐々木巌(東北大学胃腸外科)
抄録 【背景】大腸全摘術後の回腸内細菌の構成は残存回腸の形質変化(いわゆる「大腸化」)や回腸嚢炎の発症と密接に関連すると推察される.しかし従来の検討は培養法を中心としていたため腸内で優勢を占める培養困難な細菌を含めた系統的解析は全くなされていないのが現状である.【目的】大腸全摘術後の回腸内細菌叢の経時的変化を細菌DNAを指標として検討する.【方法】大腸全摘術後の潰瘍性大腸炎(UC)患者48人から経時的に125検体の糞便と対照群として健常成人31人の糞便を用いた.前者の検体は回腸痩術後2年以下もしくは2年以上経過した回腸嚢から採取した検体に分類した.糞便からDNAを抽出しterminal restriction frag・ment length polymorphism法にて解析しDNA断片を出現パターンによりそれぞれ「大腸型」「小腸型」「共通型」とした.各DNA断片はデータベース参照により菌種の同定を行った.【結果】クラスター解析を行ったところ検体は4群に分類され回腸融融来の検体はCluster IHに対照群はCluster IVに分類された.一方術後2年以下の回腸嚢由来の検体はCluster 1Hに2年以上の検体はCluster mIVに分類された.回腸嚢では培養困難な細菌を中心に術後経過とともに「小腸型」細菌群の出現率減少と「大腸型」細菌群の増加が顕著であった【結語】上皮細胞の「大腸化」と同様に回腸嚢内細菌叢も経時的に大腸細菌叢に近づきそれらの変化には培養困難な細菌が深く関与すると考えられた.回腸嚢炎の発症には腸内細菌の「大腸化」と培養困難な細菌の増加が関与する可能性が示された.
索引用語