セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

457 健常成人において潰瘍性大腸炎とサイトメガロウイルス腸炎が同時期に発症した症例

演者 酒井勝央(犬山中央病院内科)
共同演者 澁谷高志(犬山中央病院内科), 建部英春(犬山中央病院内科), 大橋憲嗣(犬山中央病院内科), 丸山貴子(犬山中央病院内科), 森昭裕(犬山中央病院内科), 井上洋(犬山中央病院内科), 奥野正隆(犬山中央病院内科)
抄録 【緒言】サイトメガロウイルス(CMV)感染は健常成入の多くにおいて不顕性感染であり長い潜伏期間を持続する.一方免疫不全患者ではCMVが再活性化し多彩な症状が出現しT特に潰瘍性大腸炎(UC)では免疫抑制治療のためCMV活性化の危険が高いことが知られている.しかしCMV感染とUCの直接的因果関係は不明である.今回我々は健常成人においてUC発症に関連したと思われるCMV腸炎を経験したので報告する.【症例】44歳男性.生来健康左下腹部痛と水様性下痢を主訴に当院受診.入院時検査でWBC 22700/mm3CRP 27.4mg/d1BUN lO6mg/d1以外の異常は認めなかった.CD4CD8免疫グロブリンなど免疫機能異常を示唆する所見は認めず.下部消化管内視鏡検査にて直腸から回腸宋端まで連続性に発赤浮腫状粘膜・潰瘍・潰瘍切痕を散見し生検にて陰窩膿瘍とCMV封入体を認めた.また入院時に陰性だったCMV-lgMは2週間後には陽転化しCMVの初感染が判明.以上よりCMV腸炎とUCと診断pp65抗原は陰性であったためガンシクロビルは投与せずメサラジン2250mg/日を投与し徐々に症状・内視鏡所見の改善を認めた.【考察】CMV腸炎はUCの増悪時にみられることがあり潰瘍の増殖細胞はCMV感染を起こしやすい.さらにCMVタンパクが自己免疫反応を誘発しUC増悪に導くとの仮説もある.実際CMV遺伝子は単球でのサイトカイン産生を刺激することが分かっている.これらの知見を併せUC発症の病因としてCMV感染が推測される.【結語]今回我々は健常成人においてUCと同時に発症したCMV腸炎を経験した.免疫不全状態ではない患者においてもUC発症時にはCMV感染や活性化の有無に注意を払う必要があると考えられた
索引用語