セッション情報 一般演題(口演)

タイトル

458 Crohn病の十二指腸病変にInfliximabが奏効した2例

演者 河内屋友宏(馬場記念病院消化器科)
共同演者 原順一(馬場記念病院消化器科), 堀田潔(馬場記念病院消化器科), 中谷雅美(馬場記念病院消化器科), 大平豪(馬場記念病院外科), 柏木伸一郎(馬場記念病院外科), 玉森豊(馬場記念病院外科), 寺岡均(馬場記念病院外科), 新田敦範(馬場記念病院外科), 押谷伸英(大阪市立大学消化器器官制御内科学), 荒川哲男(大阪市立大学消化器器官制御内科学)
抄録 症例1は32歳男性.平成5年に面痩が出現精査にて小腸・大腸型Crohn病と診断された.在宅経腸栄養療法にて症状なく緩解を維持していた.タール便が出現し平成19年4月9日来院上部消化管内視鏡検査を施行した.十二指腸球部に著明な浮腫と狭窄を認め内視鏡の通過は不能であった.粘膜は易出血性で白苔が観察できた.Crohn病による十二指腸病変と診断し絶食PPIの投与を施行した.出血は速やかに消退した.再出血が懸念されること及び栄養療法にもかかわらず十二指腸病変が出現していることを考えt13日Infixi-mab 5mg/kgを投与した.3週間後の内視鏡検査にてt十二指腸球部に認められた白苔は消失し浮腫狭窄は軽減していた.内視鏡の通過は容易であった.症例2は31歳男性.平成2年に下痢腹痛が出現し精査にて小腸・大腸型Crohn病と診断された.一時治療を中断していたが平成16年下痢腹痛にて再燃し以降5-ASA栄養療法にて緩解を維持していた.平成18年6月心窩部痛が出現21日に上部消化管内視鏡検査を施行した十二指腸球部に著明な浮腫と狭窄を認めた.PPIと栄養療法の強化を1ヶ月続けたが症状の改善が得られず7月11日Infliximab 5mg/kgを投与した.速やかに症状は改善し後の内視鏡検査で潰瘍の癩痕化を確認した.近年抗TNF一α抗体であるlnfliximabがCrohn病に対して臨床使用される症例が蓄積され緩解導入治療が大きく変化しつつある。しかし胃・十二指腸など上部消化管病変に対する使用報告例は少ない今回我々はCrohn病によると考えられる十二指腸病変にlnfHximabを使用し十分な効果を認めたため若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語