セッション情報 パネルディスカッション21(消化器外科学会・消化器病学会合同)

局所進行膵癌に対する治療戦略

タイトル 消PD21-7:

2群・3群リンパ節転移を伴う膵頭部癌の腹腔内リンパ節再発転移形式-病理学的見地からの外科治療の着目点-

演者 内藤 嘉紀(聖マリア病院・病理科)
共同演者 黒田 久志(聖マリア病院・消化器外科), 檜垣 浩一(聖マリア病院・病理科)
抄録 【目的】進行性膵癌に対する治療戦略のなかで術後再発転移のコントロールが生存率改善のための重要な要素である。実際に2cm以下で僅かな局所進展であるにも関わらず2群・3群リンパ節転移が病理学的に認められる症例を経験する事を考慮すれば、郭清範囲外からの再発転移の可能性が十分に考えられ、局所進展のみならずリンパ節転移様式の状況把握は外科治療の検討に必要不可欠であると考える。今回我々は、2群・3群リンパ節転移を伴う膵頭部癌における臨床病理学的検討を行い、病理学的見地からの外科治療の着目点を検討したので報告する。【方法】当院で2001年から2011年までに経験された膵癌56症例中、2群・3群リンパ節転移を伴う膵頭部癌13症例 (男性:9症例、女性4症例、平均年齢66.1±7.5歳)の臨床病理学的検討を行った。【成績】腫瘍径平均は29.3±12.1mmでpTS1症例が4症例 (31%)含まれていた。組織学的分化度はtub1-2: 10症例 (77%)、por: 3症例 (23%)であり、ly2-3: 11症例(85%)、v2-3: 4症例(31%)であった。また、pRP(+): 7症例 (54%)、pPL(+): 3症例 (23%)であるものの全例でpPCM(-)、pDPM(-)、R0であった。リンパ節転移は、LN16a2: 2症例 (15%)、LN16b1: 3症例 (23%)、LN8a: 5症例 (38%)、LN14p: 2症例(15%)、LN14d: 4症例 (31%)でみられ、LN8aとLN14d転移が高頻度であった。無病期間は13.4±13.6 (月)であり、最長で46ヶ月の無病期間が得られた。術後腹腔内リンパ節再発転移を伴った症例は46% (6/13)であり、内訳はLN8領域: 4症例 (31%)、LN12領域:2症例 (15%)、LN14領域: 4症例 (31%)、LN16領域: 1症例 (8%)であった。【結論】病理組織学的にLN8a, LN14d領域のリンパ節転移が多くみられ、切除後再発転移においても同部位に再発転移が生じている傾向があった事からも、総肝動脈前上部と上腸間膜動脈遠位領域に着目した治療戦略を検討する事が重要である。
索引用語 膵癌, 再発転移