セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P014 胸腔内穿破した進行食道癌に対し放射線化学療法にてCRを得られた一例

演者 岩田英之(板橋中央総合病院外科)
共同演者 松山秀樹(板橋中央総合病院外科), 畑中正行(板橋中央総合病院外科), 藤田尚(板橋中央総合病院外科), 大澤俊也(板橋中央総合病院外科), 鈴木哲郎(板橋中央総合病院外科), 金子由香(板橋中央総合病院外科), 田中良一(板橋中央総合病院外科)
抄録 【症例】62歳男性.【主訴】胸背部痛【現病歴】2007年2月突然右側胸部から背部にかけての痛みを自覚したため当院受診された.炎症反応の上昇右胸水の貯留を認め細菌性胸膜炎の診断で内科入院となった.【既往歴】高血圧胃潰瘍【入院後の経過】入院後抗生物質にて加療していたが入院第5病日に右中肺野に8cm大の浸潤影が出現した膿胸の診断にて胸腔ドレナージを施行し症状は軽快した.その後の精査の結果胸腹部CTにて食道噴門部腹側・傍大動脈周囲リンパ節転移を伴う進行食道癌が疑われ当科紹介となった.腫瘍マーカーはSCC2.6シフラ7.4と上昇していた.上部消化管内視鏡を施行したところ門歯から35-40cmの右後壁中心に深い潰瘍底のある腫瘍を認めこれが胸腔内に穿卸したと考えられた生検の結果病理組織診断では扁平上皮癌であった.食道造影ではMt-Lt領域に長径約7cmの壁不整像を認めたが胸腔内への造影剤の漏出所見はなかった以上より進行食道癌の診断のもとLiniac(6MV)総線量60Gy(2Gy×30days)シスプラチン60mg(day1)5-FU600mg(dayl-5)×3weeksのスケジュールにて放射線化学療法を施行した.症状に応じてシスプラチン5-FUは適宜増減量した本治療終了後に再評価を行ったところ腫瘍マーカーはSCC1ρシフラ1ρ未満と正常化し胸腹部CTでは当初認められた食道噴門部腹側・傍大動脈周囲リンパ節の腫大はほぼ消失していた食道造影ではわずかに壁不整像を認めるものの腫瘍は局在範囲が特定できないほど縮小していた.上部消化管内視鏡では腫瘍は著明に縮小し病理組織診断で悪性所見は認められなかった.放射線化学療法施行後6ヶ月経過した現在も再燃兆候なく外来にて経過観察中である【結語1今回われわれは胸腔内穿破した食道癌に対し放射線化学療法にてCRを得られた一例を経験したので若干の文献的考察を含めここに報告する.
索引用語