セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P029 Alpha-fetoprotein(AFP)産生胃微小粘膜内癌の1例

演者 平崎照士(住友別子病院内科)
共同演者 神崎洋光(住友別子病院内科), 藤田浩平(住友別子病院内科), 鈴木誠祐(住友別子病院内科)
抄録 【はじめに】Alpha-fetoprotein(以下AFP)産生胃癌の全胃癌症例に占める頻度は2~9%と報告され胃癌の中では比較的稀な組織型とされている.また肝転移率が高く予後不良な疾患である.進行癌として発見されることが多くAFP産生早期胃癌の報告は少ない.なかでも粘膜内癌の報告はまれでこれまで谷口らが報告した1例のみである.今回われわれは術前診断可能であったAFP産生微小粘膜内癌の1例を経験したので報告する.【症例] 63歳男性.内視鏡検査で胃体下部小駅に5mm大の陥凹性病変を認めた.超音波内視鏡では第12層に限局した低エコー腫瘤がみられた同町の生検結果は低分化型腺癌であった.腫瘍マーカーはAFP値が14.3ng/mlと上昇していた.血清AFP値が上昇していたため生検材料を免疫染色したところAFP陽性であった.腹部CTではリンパ節腫大や遠隔転移の所見を認めずAFP産生微小粘膜内癌と診断し幽門側胃切除を施行した.陥凹性病変は5×5mmで腫瘍は粘膜内に限局しており低分化型腺癌と管状腺癌の像を呈する部分を混じ胎児胃腸管型癌と診断した.手術標本でも免疫染色で腫瘍細胞はAFP陽性であった.脈管尊顔を認めずリンパ節転移もみられなかった.最終病理診断はpTlpNOMOHOPOCYOであった.術後血清AFP値は5.3ng/mlと正常化し2年以上再発を認めていない.【結語】術前診断可能であったAFP産生微小粘膜内癌の1例を報告した.微小胃癌においても血清AFP値が高い場合は本症を疑い癌の組織型やリンパ節転移の有無を考慮に入れて治療方針を決定する必要があると思われた.AFP産生早期胃癌についての文献的考察を加え報告する.
索引用語