セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P045 黒色便を契機に発見され外科的切除により救命しえた総肝動脈瘤の一例

演者 鳩貝健(東京都済生会中央病院内科)
共同演者 中澤敦(東京都済生会中央病院内科), 前田憲男(東京都済生会中央病院内科), 重松武治(東京都済生会中央病院内科), 水城啓(東京都済生会中央病院内科), 田上隆(東京都済生会中央病院外科), 鳥海史樹(東京都済生会中央病院外科), 今津嘉宏(東京都済生会中央病院外科), 茂木克彦(東京都済生会中央病院外科), 塚田信廣(東京都済生会中央病院内科)
抄録 症例は41歳男性.2005年12月より本態性高血圧の診断で他院に通院しておりcandesartan 8mg内服でコントロールされていた.2007年5月9日昼頃上腹部違和感とふらつきを自覚しその後黒色便を認めたため当院救急外来を受診した.Hb 12.1g/dしと軽度貧血を認め上部消化管出血疑いで緊急上部消化管内視鏡検査を施行したところ胃内には凝血塊が多量に残存しておりまた十二指腸球脚後壁に表面平滑で頂上に潰瘍を有する粘膜下腫瘍様隆起を認め出血源と考えられた.第3病日の腹部超音波検査で総肝動脈の動脈瘤及びその周囲の血腫を認めさらにdynamic CT・血管造影では腹腔動脈起始部から固有肝動脈にかけての瘤状拡張及び脾動脈卸町・右肝動脈閉塞を認めた.以上より総懸動脈瘤の十二指腸穿破と診断した.血管造影検査では腹腔動脈系以外からの肝への血流供給は無く治療としてはカテーテル動脈塞栓術ではなく外科的切除・血行再建術を選択した.待機的に第8寧日に腹腔動脈一固有肝動脈瘤切除及び右腎動脈一中・左翼動脈バイパス術(自家右大伏在静脈使用)を施行した動脈瘤の病理組織学的所見は中膜の弾性繊維がほとんど消失しておりsegmental arterial mediolysis(SAM)が原因と考えられた.術後一過性の肝胆道系酵素の上昇を認めたものの合併症無く経過し第21病日に軽快退院となった.外傷性や手術歴の無い総肝動脈瘤は稀であり本邦では動脈硬化に伴うものや感染性炎症性が多いとされているまた破裂例では腹腔内破裂・胆道系破裂の報告が多い.今回SAMによる肝動脈瘤破裂で外科的切除により救命しえた症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語